多くの人が誤解する「DX人材」に必要な真の能力 DX人材=プログラミングできる人ではない

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「DX人材」とは実際に、どのような人材が当てはまるのか(写真:jessie/PIXTA)
連載第1回目はこちら:「日本の新卒「採用基準」がガラリと変わりつつある訳」

先般、デジタルトランスフォーメーション(DX)が各企業の最重要課題であり、DX時代とも言われるようになってきている。

こうしたDX時代に求められる人材は「DX人材」と言われるが、「実際にどのような人材がそれに当てはまるのかよくわからない」という声は多い。人事担当者と話していても、「上層部から『DX人材を育てよ、DX人材を採用せよ!』といわれるが、具体的にどのような人材を育てたり採用したりすればいいのか」という悩みを寄せられることはよくある。

そこで今回は、DX人材は具体的にどのような能力を持った人材なのか、基本的だが本質的な意味を確認していきたい。

DX人材の4要素

以下の図では、DXのプロセスに沿って必要な能力を大きく4つに整理している。この図に沿って説明していきたい。

(外部配信先ではグラフや図などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

①の能力について

DXも当然何かの目的や課題を解決するために実施するものであるから、まず最初に課題を設定する必要がある。この課題がどれだけ本質的であるかによって、その後の解決策、そして全体としての施策の筋のよさが決まってくる。

特にDXはデジタル技術にレバレッジをかけて解決策を創るため、この課題がどれだけ本質的であるかによってその後の成果が大きく左右される。そのため、DXでの課題設定はより重要性が高まっている。

②の能力について

解決策を考えるプロセスで、②と③の能力をあえて別々に定義している点が最も重要な視点である。

②の「常識にとらわれずに新しい解決策を考えることができる能力」は、デジタル技術の有無にかかわらず、常識にとらわれない解決方法を創ることができる能力である。そもそも、解決策はあくまで課題を解決するための方法であるため、必ずデジタル技術を活用しなくてはならないものではないからだ。まずは、デジタル技術の有無を問わずに、課題に対して新しい解決方法を創れるかが基本であり重要である。

DXだからといってデジタル技術の活用を前提にしてしまうと、考え方が技術ドリブンになってしまって、本質的な課題の設定が不十分になったり、使いたい自社の技術があるからという理由で解決策に無理やりこの技術を絡ませて不適切な解決策を創り出してしまったりすることになりかねない。

あくまでデジタル技術は、常識にとらわれない新しい解決方法を創るうえでの「1つの要素」にすぎないという認識をもっておく必要がある。

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