多くの人が誤解する「DX人材」に必要な真の能力 DX人材=プログラミングできる人ではない

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ここまでDX人材の4つの要素を確認してきたが、ここから人材採用や育成のヒントが導ける。

まず、④はデジタル技術を使って解決策を実際に実行する部署の人が必ず必要な能力となる。裏返せば、ほかの人は必ずしも④の能力は不要だ。

すべての社員に求められる能力

その一方で、DXが新しいサービスを創るだけにとどまらず、社内の業務や組織にも変革をもたらすことを目的としていることを鑑みると、①から③の能力は、すべての社員に求められる能力だといえる。日々の業務レベルでも、本質的な課題を捉え、デジタル技術を使った新しい解決策を考えることが求められているからだ。

この点、「一部の選考でDX人材を採用する」とか「DX推進室の人がDX人材だ」と言われることがあるが、上記のとおり、すべての社員が①から③の能力を備えてDX人材とならなければならないので、この考え方は明確に誤りである。

次に、②と③の能力を区別して考えることが有用だ。重要なのは「本質的な課題を設定し、常識にとらわれない解決策を考える」①と②の能力だ。上述のように③の能力は、あくまで②の能力の一要素にすぎない。

したがって、DX人材を採用するのであれば、まずは①と②の土台がしっかりできるか否かを確認すべきだ。

この土台がない中でデジタル技術について詳しくても、それはDX人材ではなく、ただの「デジタルうんちく屋」にすぎない。育成をする場合にも、焦ってデジタル系のノウハウやトレンドをインプットするような研修を多くしても、基礎となる①と②の能力をしっかりと身につけていないと、変革に結びつけることはできない。

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加えて、③の能力の有無を採用で判断したり、育成する場合に重要な点は、この能力が単に「デジタル技術を知っている」能力ではなく、「解決策に活用できる」能力であるという点に留意することが重要だ。デジタル技術の本質的な要素や特徴を理解し、ほかのものと組み合わせたりしながら解決策を考案する能力であるからだ。

したがって、採用でこの能力を判断するのであれば、単にデジタル技術の知識があるかを聞くのではなく、デジタル技術を応用したり、ほかの物事と組み合わせたりしてどんな解決策を考えられるかを聞くことが重要だ。

人材育成の観点でも、単にデジタル技術をインプットするだけでなく、その技術を応用する思考を養うためにアナロジー思考等の基礎的な思考訓練も同時に実施することが有効だ。

ここまでDX人材に求められる本質的な能力を論じてきたが、DX人材に必須の①から③の能力は誰でも鍛えることができる。ぜひ、人材育成の参考にしてほしい。

永井 翔吾 VISITS Technologies エグゼクティブ・ディレクター

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ながい しょうご / Shogo Nagai

1986年生まれ、埼玉県出身。2012年大学院法務研究科を修了し、同年、司法試験と国家公務員総合職試験に合格。2013年経済産業省に入省。主に、知的財産政策や法律改正業務に携わる。その後、ボストン コンサルティング グループに入社し、大企業の新規事業立ち上げや営業戦略等のプロジェクトに従事。2016年、創業期の株式会社VISITS WORKS(現 VISITS Technologies株式会社)にジョインし、現在は、デザイン思考テスト事業の責任者。

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