スマホで成績上がった!?ウソみたいなホントの話 上手に使いこなすには親のサポートが重要
特に高校生ぐらいになると、スマホによる時間短縮が威力を発揮します。学ぶこと、調べることが高度になってくるから、参考書をひっくり返すよりずっと効率的に勉強できます。
私の行きつけのカフェには、よく超進学校の生徒が集まっていますが、全員スマホ片手に何かやっています。ゲームをしているのかと思うと、どうもそうではない。調べながら、仲間同士であれこれ議論しています。翻訳機能を使って和文英訳している子もいる。効率的な勉強のおかげで、余った時間でさらに深掘りし、知識を深めているように見えます。
時間をかけて丁寧に探索していくことで、得られるものもあるでしょう。アナログにはアナログのよさがあります。しかしデジタルにはまた別のよさがある。デジタルがアナログに劣るわけではないのです。いや応なしにデジタル世界で生きていく子どもたちのことは、そういうふうに見てやる必要があると思います。
しかし一方で、スマホと自制的につきあうのは大人でも難しい。放っておいて問題なく使える子はごく少数です。ほとんどの場合、スマホの恩恵を受けるためには、つきあい方に一定のルールが必要です。この本でお話ししたさまざまなノウハウは、すべてそのためのものです。
子どもが安全に気持ちよくスマホを使うためにルールを決め、ときに運用を見直し、トラブルにうろたえずに最善の策を探す。親にできるのは、こういう基本を押さえることだけだと私は思っています。
親のお説教の影響力はほぼゼロ
おもしろいデータをご紹介しましょう。行動遺伝学には、双子研究という手法があります。双子は同じ遺伝子を持っていますが、育つ環境が違うとどういう差が出るのかを調べるものです。攻撃性、アルコール依存傾向、うつ傾向、自尊感情など、さまざまなテーマの研究がなされています。
こうした双子研究を世界中から2000以上集め、統合して分析したデータが、5年ほど前に発表されました。対象となった双子は約1400万組。中には50年近くに及ぶ研究もあります。
例えばこの研究項目の中に、「やる気」というものがあります。同じ遺伝子を持った人間である双子が、それぞれに与えられた環境によって「やる気」がある子に育つのかどうか、あるいは環境は影響がないのかを分析しています。
その結果、やる気がある子かない子か、約半分は遺伝子で決まることがわかりました。もともとそういう子だということです。別の言い方をすれば、遺伝子レベルではやる気がない子も、環境によってやる気を5割増しにできるということでもあります。
その要因は何かといえば、外部環境です。親がどんなにワーワー言っても、やる気は起こりません。友達に負けたくないなど、外からの刺激でやる気になるのです。幼児期は外の世界を知りませんから、家庭環境が大切です。でも幼稚園や学校に行き始めると、外からの影響が大きくなってくる。親の影響はほとんどなくなります。
ただひとつ、親が虐待レベルでネガティブなことをやると、家庭の影響力が跳ね上がります。つまり、子どもの心にトラウマを残すような虐待をしない限り、親は大して影響力を持っていないということです。
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