この税収増は、冒頭で指摘した、2015年度の財政健全化目標の達成に大きく寄与したといえる。さらに言えば、「消費税を増税すればむしろ税収が減る」という説は大間違いだったことが誰の目から見ても明らかとなった。この説は、1997年度に消費税を増税した結果、日本経済が低迷して、増税すれば税収が増えると思いきや、逆に税収が減った、というデータを精査しない拙い説なのだが、「都市伝説」のように一部で流布されていた。
国税収入が減ったのは、制度変更の要因が大きい
1997年度以降税収が減っていたのは、国税の収入である。地方税収はそうではない。しかし、それには極めて明白な原因がある。1998年度と1999年度には、法人税率が引き下げられ、所得税も特別減税が行われた。
これなら、税収は減って当たり前である。さらに、小泉内閣期に行われた国と地方の税財政改革である「三位一体改革」では、国のひも付き補助金を削減するのと同時に、国税を地方税に移し替える「税源移譲」が約3兆円行われた。
具体的に言えば、国の所得税で取っていたものをやめて地方の個人住民税で取ることに変えたのである。これによって、国税と地方税の合計は減らないのだが、国税収入が減って当たり前である。これらは、消費税を増税したことと何ら関係はない。先の拙い説は、こうした税制改正の詳細を知らない者が誤って唱えたものだった。
それでも、国税収入は1997年度以降、1997年度の税収を上回ったことはないというところを針小棒大にして「消費税を増税すればむしろ税収が減る」と言おうとしても、2015年度予算案はもはや名実ともにそれを覆す内容となった。
2015年度予算について、歳入では前述の通りだが、歳出ではどうだったか。地方創生など、安倍内閣としてのメリハリ付けはあるものの、大きな目玉といえるものはあまりなさそうである。
社会保障費以外はほぼ2014年度並みの金額で、社会保障費が約1兆円増加するところが顕著だった。それだけ、社会保障以外の支出は抑制され、高齢化に伴い国の予算では社会保障費のウエイトが増すという構図が浮き彫りになった。それが2015年度予算案である。
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