本を読み「ものにする人」と身につかない人の大差 「独学」を三日坊主で終わらせないために必要な心得

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もちろん、そのためには本を読まなくてはなりませんが、この段階では、最初から最後まで読み通すことが目標ではありません。この段階の読書は、どんなことに自分は興味を持てるのか、どんな学びのスタイルが自分に向いているのかを探るための手段と割り切って考えたほうがよいでしょう。ですから、最初の10ページでやめてしまう本があってもかまいません。

人によって、この勉強がしたいというものが1週間で見つかる人もいれば、半年ぐらいかかる人もいるかもしれません。それでかまわないのです。大事なのは自分のやりたいことや目標を探しながら、ぶらぶらと歩きまわることです。たとえ、自分は教養として学ぶんだからという人でも、やはり何かの目標を探してみることは必要だと思います。勉強をする際に、目標を探しながら進んでいるのと、あてもなく進んでいくのでは、大きな違いが出るからです。絶えず考えながら歩きまわっていれば、必ず求めるものに行きあたります。あてもなくぶらぶらするのとは違うのです。

もちろん、何を学びたいのかを最初から決めている人や、やりたいことが明らかな人は、そのまま真っ直ぐ進んでかまわないと思います。ただ、そうした人はごく少数派でしょう。そうした例外的な人を除けば、本格的な勉強の前には、試行錯誤の期間を必ず設けたほうがいいと私は思っています。

勉強する前に、勉強する姿勢をつくる

おそらく多くのみなさんは、学問というのは伝統があって、立派なものであり、疑う余地はないものだと考えていると思います。ましてや教科書は、偉い学者が考えてきたことをまとめたものだから、書かれていることは全部正しいと思っているのではないでしょうか。

もし、「先生、それ書いていること違うんじゃないですか」と質問する学生がいたら、ひねくれたやつだとなって、先生からもまわりからも白い目で見られるのが関の山です。

そのため、勉強というのは、書かれていることをいかにきちっと覚えるかだということになりがちです。勉強をするとなったら、本を読むにせよ、講義を聴くにせよ、無意識のうちに、とにかく偉い御説を一生懸命覚えよう、要点をつかもうとしてしまうのではないかと思うのです。そうすると、勉強は退屈でつまらなくなりますし、頭の中もすぐにいっぱいになってしまいます。

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