アマゾン配達「勝ち組」ギグワーカーが語る本音 働き方は自由、ブラック社員よりはるかにいい
後日、倉庫の担当者に聞いてみたところ、「もうその人はやめちゃったよ」ということで、姿を見かけることはなくなったという。
原田さんは「自由にできること自体はいいことだけど、どんな人がやってくるのか、まったくわからない面があります」と振り返る。
「誰もが運送業者の時代」を迎えて
デリバリープロバイダーの下請けに入ったことのある、関東の宅配業者の男性経営者・佐藤さんは、アマゾンフレックスも含めて、「誰もが運送業者の時代」がやってきたと感じている。
「アマゾンのAIが指定したルートどおりだと、微妙にピンがずれていることもありますが、アマゾンフレックスには、そういうことも確認できずに失敗する『三流』のドライバーもいます。誰もが運送業をできる時代になり、どこかの会社に所属する必要もなくなりましたが、それで本当にいいのかと感じることもあります」
それでも、大手運送会社の経験がある佐藤さんは、「宅配クライシスのころは馬車馬のように働かされていました。そこで一流の配達スキルを身に付けることはできましたが、もうその時には戻りたくはない」と話します。
「誰もが運送業者」の時代になって、いい面、悪い面があることは事実だが、今回、話を聞いた3人のドライバー経験者たちに共通していたのは、アマゾンに対する温度差はあっても、既存の日本の運送会社の働き方がいいとはまったく思っていないということだ。
とくに、冒頭の佐々木さんが、「日本の大手運送会社はアマゾンに吸収されてしまったほうがいいんじゃないか」と極論を語っていたことが印象に残っている。
「宅配クライシス」のころよりも労働環境改善が進んでいるとはいえ、能力が高く、自由にやっていけるドライバーからすれば、人を縛りつける従来型の「働かせ方」に対する見方は厳しい。アマゾンのような巨大プラットフォーマーがもたらす「自由な働き方」については、単にプラットフォーマーの善しあしだけを見ていては捉えきれない面がある。
(編集部:新志有裕)
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