国際文化会館とAPIは統合で一体何を目指すのか 船橋API理事長と近藤・国際文化会館理事長に聞く
経済的なデカップリングが進み、地政学的な対立が深まる時代に、何かでつながっていなければ誤解や不信は広がっていくばかりです。そんなときこそ、文化交流が重要なのだというのがロックフェラーの見解でした。ロックフェラー3世は、世界各地に文化施設を作っていますが、それらが結果的に政治経済や安全保障を支えるという考えがあってのことです。
合併により新たに歩み始める会館でも各国のリーダーとの対話を続けていきますが、いきなり安全保障の問題をテーマにするのは難しい国々もあります。そんなときには、文化は非常に大きな架け橋となりえます。まずは、文化をテーマに対話の場を作り、サイドミーティングやオフレコの会話で、より深刻な安全保障の問題にも心を開いて意見を交わすといった工夫が世界との対話では必要です。
日中関係、米中関係との向き合い方
――現在、アメリカと中国のデカップリングが国際秩序の不安定化の一因となっています。合併後の新しい組織体として、日中関係、米中関係にどのように向き合っていかれるのでしょうか。
船橋洋一(以下、船橋):政策研究ではクリティカル・レビューを欠かさない。中国の外交、安全保障の問題点をしっかりと見据え、言うべきは言う。しかし、国際交流は懐を開いて度量大きくおおらかにやる。例えば、ますます難しくなっている中国の識者との対話の場を維持する、といったところとかですね。
当面の大きな課題としては環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)を日本の通商戦略、アジア政策、さらにはアジア太平洋での国際秩序とルールの構築の観点からどのように育てていくべきか、という課題があります。ここでは中国が現在、加盟申請しています。中国を入れたら全部潰れてしまうから加盟させるべきではないという人もいますが、私はそうではないと思います。
いまは表舞台になかなか出ることのできない中国の改革派の人々との非公式の話し合いができればいいと思います。ここで問われてくるのは、中国にCPTPP協定を守らせることができるのか、その執行力が伴うかどうかです。その観点からも、アメリカの参加が望ましいと思いますが、それにはアメリカと深い対話をしなければならない。それもアメリカ連邦議会の上下両院の議員や州知事・有力市長などともより深い意見交換が求められることになると思います。統合後のシンクタンクとしての大きな挑戦になるだろうと思います。
米中対立がさらに悪化しデカップリングが進めば、日本には選択の余地はさらに小さくなっていきます。そうならないため、日本に何ができるのか。アセアン諸国やインドを含め、アジア太平洋にどのような国際秩序とルールを作っていくべきなのか、その枠組み作りの過程で米中関係を緩和させるような取り組みができないか、そうした大きな挑戦にも取り組んでいかなくてはなりません。そんな大きなことを考えるシンクタンクでありたいと考えています。