国際文化会館とAPIは統合で一体何を目指すのか 船橋API理事長と近藤・国際文化会館理事長に聞く

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松本重治の『上海時代』を読んだのはその後でしたが、松本さんは本当に記者そのものですね。概念や信念より、まず人間に関心がある。人に会う、人の話を聞く、質問する、しかし、ニュースを取りたいと思えば、人にニュースを与える、人に食い込みたいと思えば、人に信用される。最後は信頼だ、といった記者道は私のそれでもあります。とても共感したことを覚えています。それにあの人脈の広さですよね。政界、官界、経済界、学界、法曹界、そして海外。これはという影響力のループにたくさん入っていた。

松本重治は、薫陶を受けた新渡戸稲造の言葉を書き残しています。

「キミ、日本村で有名になろうとするなよ、わかったかい?」

新渡戸は松本の可能性を信じ、そんなふうに諭し、励ました。松本はそれに見事に応えたと思います。

私が松本重治の思想で共鳴するのは、日米関係の究極の課題は、中国をめぐるものだという洞察です。彼はこれをアメリカで最も影響を受けたチャールズ・ビアードから学んでいます。後藤新平に請われて関東大震災後の東京再建の顧問を務めたこともある知日派の政治学者です。1920年代半ば、ビアードが『ザ・ネイション』に書いた論文の中で、「もし日米戦争が起こるなら、それは中国市場の取り合いからであろう。火種は中国問題である。結論は”It’s China.”である」と述べていた。

「日米関係の核心的問題は中国問題である」

松本は、「この論文を何回も読み返して、始めて日米関係の核心的問題は中国問題であることを悟った。以後、現在に至るもこの考えに変わりはない」と生前、語っています(松本重治・聞き手加固寛子『聞書 わが心の自叙伝』、講談社、1992年、73)。

話を元に戻しますと、さきほど近藤さんが「館」とおっしゃいましたが、これが大事なんですね。CFRやチャタムハウスに行くとわかりますが、それぞれがその「館」を非常に誇りにしています。英語ではpremise(プレミス)と言いますが、単なる建物という意味ではなく、館があってそこに人々が集ってコミュニティーを形成するという意味でのプレミスですね。それが会員の方々のアイデンティティーの一部にもなっています。コミュニティーを大切にして皆で育てていく。それが、市民社会の力なのだと思います。プレミスにこだわったところも松本重治の慧眼だったとつくづく思います。

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