「傷ができたらまず消毒」はNG!?「傷ケア」の新常識 「鼻血・あかぎれ・虫刺され」のときの対処法は?
──昔は……
オキシドールで消毒しヨードチンキ(マーキュロクロム液、赤チン)を塗布しガーゼを貼る。もしくは何も貼らずに傷を乾燥させかさぶたをつくって治すのが一般的だった。
──今は……
ほとんどの傷の場合消毒は不要。傷を水道水で洗い、早くきれいに治せる「湿潤療法」(モイストヒーリングタイプ)のばんそうこうを貼るのがおすすめ。
ばんそうこうにも傷や目的に適した種類がある
「1990年代は乾かして治す方法が主流でしたが、それだと治りが遅く、傷が残ってしまう場合もあります。 ほとんどの傷の場合、消毒は皮膚の傷を治そうとする皮膚の細胞に影響を与え、逆に治りを遅くすることも。消毒液による殺菌効果は一定時間しか持続せず、体液の働きを弱めてしまうため実はNGなんです。
また、よく見る肌色タイプの一般的なばんそうこうは、傷の保護をするものであり治癒するものではないため、早く治したい場合にはモイストヒーリングができる治癒タイプのばんそうこうを選びましょう。
なお、ばんそうこうを使用した湿潤療法が適しているのは、紙で指などを切るようなきれいな切り傷、軽い火傷(皮膚が赤くなっている程度で水疱のないもの)、靴ずれ、といった感染のリスクのない傷口です。ぱっくり裂けた傷や動物などに噛まれた傷、釘などの刺し傷、水疱ができるくらいのひどい火傷、汚染の強い傷などは自宅での湿潤療法は向かないため、まずは病院へ行ってください。
また、モイストヒーリングが行えるばんそうこうを貼ったあとも、2〜3日に1回は貼り替え、傷を観察し、感染を示す症状(傷口の周りが赤くなったり、ズキズキする痛みが続いたり、ウミをもっていたり、熱や腫れなどの異常が認められること)がないか、確認を!
昔は『唾を塗っておけばいい』という方もいましたね。唾液には抗菌作用のある酵素や傷の修復作用があるので、まったくの気休め的な話……というわけでもありませんが、現在ではそのようなことは行っていません。正しい知識として『消毒はせず、水道水で傷口を洗い流し、モイストヒーリングが行えるばんそうこうを貼る』と覚えておくとよいでしょう」(野村さん)