必ずしもMBA出身者がプロ経営者になれない理由 MBAという手段を有効活用できた人が成功する

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冒頭で柔軟性といいましたが、企業やビジネスを取り巻く環境、つまり労働者を取り巻く環境に不確実性や不安定性が増えれば増えるほど、固定的な生き方や考え方を捨てて、柔軟性を持ってそういった不確実性に立ち向かう必要があります。

このことから、「どのようなキャリアが一般的になるか」への回答としては、「どの業界が」とか、「どの資格が」といったような、そのときの旬だけではなく、今後のトレンドなどを踏まえ、「どこでも働けるような経験とスキルを有しながら、働く場所を問わないキャリア構築」だと思っています。つまりは、働く場所や箱としての企業、業界などといった看板ではなく、より個人に属性化したキャリア構築ということです。

組織の看板ではなく、自分に紐づくまさに名刺なり名札で、個人として企業や他人に自分の経験とスキルを売り、対等に付き合うような関係性の構築がより一般化することがいえると思います。これは、先ほど申し上げたプロ経営者にしても同じです。

それは、企業が求める具体的な課題解決に役に立つようなプロに自分がなりえるかであり、そういった人材がより求められるということです。

短期と長期のバランスを図ることが重要

そう考えると、常に今いる場所で「何が学べるのか」「何を学ぶべきか」という経験やスキル構築のための短期的な目線も非常に重要ですし、一方で、同時並行的に「この先求められるスキルは何か」や「この先盛り上がる分野はどこか」などといった長期的な目線も求められるのです。これが冒頭に申し上げた「短期と長期のバランスを図る」ことです。

今までのように企業内における研修やOJTのみに頼るのではなく、自分なりの情報収集力と嗅覚を持って、常に最先端にいるという気概を持ち、個人の武器や力を磨くことが求められます。

繰り返しますが、今後も求められる経験やスキルはどんどん変わります。旬の業界も会社もどんどん変わるでしょう。

そんな時代だからこそ、「正解はこれ」みたいな一本足打法というか、固定的な概念を捨て、より柔軟で身軽な考え方で不確実性に対応すべきと考えます。HTさんがご自身にとっての正解を情報収集力と分析力、洞察力などを持って探し続けるキャリアの旅が成功することを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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