ただし、それですら一般的かといえばそうではなく、あくまでも今後の需要と供給を考えた際に、戦略コンサルやMBA(経営学修士)を持つ人にとっての最高峰のキャリアとして、今後より求められるであろうというだけです。
戦略コンサルもMBAも既に供給過剰気味です。しかし、これは昨今始まったことではなく、私がMBAに行き、戦略コンサルに入った15年ほど前にはそういった状態だったわけです。当時から既にMBA留学に多額の資金を投入したけれども、それに見合う給与などを得られていない、というヒトが結構いたものですし、現在もたくさんいます。
需要と供給のバランスは崩れている
要は、留学費用という先行投資に対するリターンを享受できていない、ということですが、それも需要と供給のバランスが崩れている、という状況に加えて、「MBAさえ行けばどうにかなる」といった、安易な「戦略なき投資」をしてしまった方が多くいたということでもあります。
これはMBAに限らず、戦略コンサルやIBにしても同様です。
業界出身者であったり、「現在、業界にいます」と言ったりする人は大勢いますが、皆が皆、自分が思い描く最高のキャリアを得られているかというとそういうわけではありません。
では、何が違うのかというと、「そのキャリアに戦略性があるか否か」だと思います。
一部の、というよりもほんの限られた一部の方を除き、「プロフェッショナルファーム業界にずっといるということを想定しているヒトはいない」というのは、業界にいた方であれば当然の事実として理解されているでしょう。
つまり、コンサルや投資銀行、PEなどのキャリアは最終目的地ではなく、最終的な目的地にたどり着くための手段である、と割り切って考えている方が多い、ということです。それ故に、「キャリアのその先」のゴールのイメージであったり、「そこでなにを学ぶか」という具体的な目的を持つことが必須なのです。
これは先ほどのMBAにしても同様です。MBAに行くから成功するのではなく、MBAという手段を有効活用できた人が成功するのです。そこにもやはり戦略性が求められます。
では、その戦略性とは何かですが、現在と今後のキャリアを考えた際に、今までのように長期にわたって同じ企業で同じ仕事をやる前提で、長期的な視点でキャリア構築で考えることは、ますますできなくなるでしょう。
企業を取り巻く環境がより不確実に、より不透明になるにつれて、その企業で働くヒトに求められる経験も、スキルも、今まで以上に変わりやすくなるからです。これを一労働者の立場で考えると、企業間・業界間で持ち運びが可能な経験やスキルを身に付けることが必須になるわけです。
要は、何が今求められているのか、今後何が求められるのかなどをキチンと考えたうえで、常にアンテナを張り巡らして「労働市場における旬は何か」を考え、自分の経験とスキルの陳腐化や大衆化を防ぎ、常に最前線にいる覚悟で学び続ける必要があるということです。
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