一人ひとりが効率的で負担の少ない予防に努めることで、緊急事態宣言のようなオオゴトを回避できるなら、そのほうがいいに決まっている。ただし適度が大事で、やりすぎもまた不都合を生じる。
日本ではマスク着用は義務でも何でもないが、withコロナだからこそ上手に使いたい。特に、換気が十分でない屋内や、密になりやすい公共交通機関では、マスクは有益だ。
180°変わった「科学界の認識」
マスクの呼吸器感染症から身を守る効果については、新型コロナを機にエビデンスが急速に集積した。かつては、マスクは「ウイルスをばら撒かないためのもの」としか認識されていなかったが、科学界のスタンスは180°変わった。
昨年12月に発表された論文では、飛沫感染だけでなく空気感染(エアロゾル感染)も考慮した検証が行われている。結果は、感染リスクの高い順に以下のとおり。
●感染者と非感染者がともにマスクなしで1.5mの距離で対面会話をした場合
⇒非感染者の感染リスクは1分半で90%に到達した。
●非感染者のみが医療用マスク(サージカルマスク)を着用し、マスクなしの感染者と喋った場合
⇒1分以内に感染リスクが生じ、30分で90%に達した。
●両者とも医療用マスクを着けて会話した場合
⇒1~2分間は感染リスクが1%未満に保たれた。時間とともに徐々に感染リスクは上がったが、20分経過で10%、1時間でも20%未満だった。これは、両者マスクをせず1.5mの距離で終始黙って向き合っていた場合と、ほぼ同等。
●両者あるいは非感染者が医療用マスクをして2人とも黙っていた場合
⇒5~10分間は感染リスク1%未満、1時間経っても10%未満に抑えられた。
着け方が間違っていては適切な予防効果は得られないが、正しく着用する限り有効な予防手段となる、というのがマスクに対する世界の共通認識となった。
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