米国の利上げが想定内でもなお警戒が必要なワケ FRBの「タカ派姿勢」が和らぐための条件は?

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5月3~4日のFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)が近づいてきた。もし利上げが「想定内」なら安心してもいいのだろうか(写真:ブルームバーグ)

アメリカ株市場は4月22日に大幅下落、主要株価指数指数は3月半ば以来の水準まで再び下げた。その後も、月末にかけて企業決算等で乱高下して推移し、29日にはナスダック総合指数は年初来安値を更新して下落している。

同国の株式市場の推移を振り返ると、3月中旬からウクライナ紛争に対する悲観的な見方の和らぎなどで反発、3月末には年初の高値をうかがう水準まで戻す場面があった。「ウクライナ紛争による欧州経済のダメージはあるものの、アメリカ経済がうける悪影響は限定的」との見方が広がった。さらに、期待値が低下した1~3月期の企業決算についても「無事通過するでは」との雰囲気が強まった。

波乱を招いたパウエル議長の発言

「ロシアによるウクライナ侵攻」(2月24日)という予想外のリスクに直面したことで、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の姿勢への注目度が低くなったことも、一時的な株価の反発をもたらしたといえる。

今のところ、ウクライナ紛争の地政学要因の影響をすべて見定めるには至っていない。だが、これがFRBの引き締めをより積極化させる可能性が高まり、金利上昇とともにFRBの対応が4月半ばになって株式市場のリスク要因として再び注目されることになった。

実際に、アメリカの債券市場においては、3月後半から金利が上昇傾向にある。これは、アメリカ経済復調への期待というよりも、FRBによる積極的な利上げ姿勢に対する織り込みが強まったことがもたらした側面が大きく、同国の金利は国債で見ても広範囲な年限においてじりじり上昇していた。イースター休暇明け後の4月19~20日にかけて、10年国債利回りが2.9%台まで一段と上昇したが、薄商いで確たる材料がなかったとみなされ、この日には、アメリカ株市場は大きくは反応しなかった。

その後、21日に上昇して始まった同国株市場は、同時に10年金利が再び2.9%台まで上昇したことをうけて終日下落した。この日、ジェローム・パウエルFRB議長が「5月FOMC(連邦公開市場委員会)において0.5%利上げが検討されるだろう」と述べたことが金利上昇、株安要因になったとされている。

だが5月FOMCでの0.5%の利上げは、筆者を含めた市場の多くの見方のコンセンサスであり、これだけでは大きな材料にはならなかっただろう。

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