前回の当コラム「米国の利上げが想定内でもなお警戒が必要なワケ」(5月1日配信)では、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)による利上げに対しての市場の懸念が、そう簡単には払拭されない可能性を指摘した。
直後に予定されていたFOMC(連邦公開市場委員会)での0.5%の利上げがほぼ織り込まれている中で、同国の株式市場はFOMCの結果発表当日(4日)こそ、ジェローム・パウエルFRB議長の「一度の会合での0.75%利上げに対する否定的な発言」を好感した。だが、金利上昇が続き、4月のインフレ指数が高い伸びを示したことなどから、株式市場の警戒は薄れなかった。
その後、同国株は5月20日前後まで大きく調整した。代表的なS&P500種指数などは一時、2月の安値を大きく下回る水準まで下落した。NYダウ平均株価指数にいたっては、1932年以来の8週連続下落となり、歴史的な調整局面に匹敵する可能性が意識された。
アメリカ株の反転は本物なのか?
一時、年初からのS&P500指数の日中の下落率は約20%に達した。ただ、利上げによる景気サイクルの転換が意識されれば想定できた調整と位置付けられ、ここまで下落すると割安感からの買いが入ってもおかしくない状況だった。実際、割安感が意識されたことなどから、5月25日からアメリカ株は大きく反転している。
さらに、アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁など一部FRB高官の発言で、「FRBのタカ派姿勢が和らいだのでは」との観測が広がったことも、急反発を後押ししたとみられる。
それでは、このままアメリカ株は本格的に上昇に転じるだろうか。筆者は懐疑的にみている。
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