「米国の株価はついに上昇に転じた」といえるか 「9週間ぶりのNYダウ大幅反発」が意味すること

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NYダウは9週間ぶりに反発したが、アメリカの株価は下げ止まったと見てもいいのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

少し前の相場から振り返ってみよう。先々週末(5月20日)のNY(ニューヨーク)ダウは小幅に反発したが、この週で見ると934ドル(2.9%)安で、実に8週連続の下落となった。

英国系金融情報会社リフィニティブの集計では、8週連続下落は1929年に始まった世界恐慌の最中だった1932年に記録して以来、90年ぶりだという。投資家の「超悲観」を象徴する事例となった。

この観点でいくと、アメリカの個人投資家協会集計の「個人投資家センチメント」は、2020年のコロナショック時を超え、2008年が起きたリーマンショック後の2009年時前後と同じレベルに低下している。

「陰極まれば陽転す」

しかし、相場にはよくあることだが「陰極まれば陽転す」の格言どおり、週が変わってからは前日比のプラス現象が続いた。

先週末(27日)のNYダウは前日比575.77ドル高の3万3212.96ドルと、先々週末の小幅高を入れると6連騰。9週連続下落とはならなかった。また、大きく売られていたナスダック市場も、総合指数が同390.48ポイント高の1万2131.13と3連騰で、8週ぶりの上昇となった。

投資家の間では「大きく売られたことに対する自律反発にすぎない」という弱気論もまだ圧倒的に多い。だが、90年ぶりの8週連続安で年初来安値を更新していたNYダウが引け値ベースで2000ドル近く上げたことは、自律反発だけではない理由もあるのではないか。

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