「米国の株価はついに上昇に転じた」といえるか 「9週間ぶりのNYダウ大幅反発」が意味すること

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その1つは「アメリカ経済が景気後退に陥るのでは?」という過度な警戒感が和らいだことだろう。具体的に言えば、当面のリスクとして最も注目されていた同国の1~3月期GDP改定値発表(26日)だったのではないか。実際、同改定値は前期比年率-1.5%と、速報値の-1.4%を0.1ポイント下回った。

市場は「景気後退は短期間で終わる」と見ている?

だが、市場はこの発表を売り材料としなかった。アメリカの金融引き締めについては、これから0.5%の利上げが6・7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で発表されることは、確定的だとして織り込まれている。また、6月のFOMCでFRB(連邦準備制度理事会)の資産縮小が開始されることも、ほぼ「決定事項」だ。

NY連銀は24日、「資産縮小がいったん停止されるのは2025年半ば」と予測し、その間にFRBのアメリカ国債とモーゲージ担保証券(MBS)の保有が約2兆5000億ドル(約320兆円)減少するとした。つまり、2025年半ばまで量的引き締めが続くということだ。そして最も不透明なことは、この間、アメリカ経済が景気後退に陥るのではないか、ということだ。

今、市場では「景気後退期に陥ることなく、金融引き締めが終わるかどうかわからないので、アメリカの投資家は強気になれない」と言われている。ならば、GDPのマイナス成長を表す数字にもっと激しく反応するはずだが、先述の一見無視したかのような市場の反応を見ると、すでに織り込んでいるのではないかと考えられる。

もしかすると、市場は仮に景気後退があったとしても、それがFRBの金融政策にハト派的な転換を促す要因になり、景気後退は短期間で終わると考えているのかもしれない。ただ、2022年6月に開始され、2025年半ばにいったん終わるとしても、市場にとってネガティブな政策が、開始する時点で今後3年間分を「いっぺんに織り込んだ」と考えることにも無理がありそうだ。

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