新科目「歴史総合」が伸ばす、子の「問いかける力」 これまでの「日本史」「世界史」学習とどう違う?

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この4月から新学習指導要領により「歴史総合」が高校での必修科目となりました(写真:Fast&Slow/PIXTA)

この4月から、新学習指導要領により高校において「歴史総合」が必修科目となった。これは、これまで必修科目だった世界史が、日本と世界の近現代史を総合的に学習する科目に変わった形だ。

今回の学習指導要領の変更の大きな目的は、生徒たちが主体的に他の人と協調しながらさらに深い学びに入ることにある。これは歴史に限らず、どの科目でも生徒自らが「問い」を設定し、考え、調べ、他人とのディスカッションなどを通して学びを深めていくことを目的としている。いわゆるアクティブラーニングを取り入れた形だ。

「問い」から歴史を深掘り

「歴史総合」では現代の諸課題がなぜ起こったのか?という「問い」から歴史を深掘りしていくことになる。

例えば、現在のウクライナとロシアの問題を「歴史総合」で学ぶとしたら、どのような学習方法になるだろうか。第1次世界大戦までさかのぼって、両国の対立原因や、ロシアと欧州周辺諸国との関係を考察し、その解決策を見いだしていくといった方法が考えられる。

また、環境問題であれば、日本初の公害事件である足尾銅山鉱毒事件がどのようなものであったのか、明治時代の公害事件がなぜ「100年公害」と呼ばれるほど解決に時間を要したのか?という問いを設定し、仮説を立て資料をあたりながら、調べ、知り、他の人とのディスカッションを通して解決策を考えてみよう、となる。

「歴史総合」の授業では、世界史の中の日本史ということを意識し、日本史と世界史の区分けをなくして歴史を総合的に学ぼうという側面もある。学びやすくするために、時系列にそって3つの大きな柱が設けられている。

それは「近代化」「国際秩序の変化と大衆化」そして「グローバル化」だ。

「近代化」についての問いを立てるとしたら、日本は明治期において、なぜあんなに早く西洋化、近代化が進んだのかは、需要な論点の1つになるだろう。

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