地元の足「タッチの差」で乗り継げないモヤモヤ感 三陸鉄道と接続しないバス・釜石市北部大槌編

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三陸地区の岩手県交通の路線は、この浪板が北限。この先、岩手船越方面へはバスが途切れ、三陸鉄道が唯一の公共交通機関となる。釜石―宮古間が不通であった頃は、岩手県交通が大槌町と山田町の町境を越えて、道の駅やまだまで乗り入れ。宮古方面への岩手県北バスと接続して鉄道を代替していた。

浪板バス停(筆者撮影)
浪板バス停に折り返し上大畑行きが到着(筆者撮影)

列車の運転再開に伴い、バスは浪板止まりに短縮されている。三陸鉄道の吉里吉里―浪板海岸間が1.8kmなのに対し、浪板海岸―岩手船越間は6.4kmもあり、険しく、人口も希薄な地帯が横たわっていることが想像できる。

浪板からは13時29分発の上大畑行きで大槌駅前まで戻る。途中の吉里吉里も、大槌にも震災直後の印象が強く残っており、再建された町の姿に安堵はする。ただ、中心部にはまだ空き地が目立つ。被災した県立大槌病院も山沿いに移転し、岩手県交通の一部の便が立ち寄る。

大槌町内にも大槌駅前をターミナルにして町民バスが走り、町内循環線と山間部へ向かう系統がある。13時43分に着いて、再建された大槌駅舎内で赤浜行きを待っている間、14時19分に大貫台行き、14時20分に循環線左回りが大槌駅前を出ていくのを見た。

接続を考慮してはどうか?

これに対し、釜石から来る岩手県交通の赤浜行きは定刻で14時21分着。この日は多少、遅れてやってきた。岩手県交通と循環線左回りは時刻表上、マスト前でなら、14時17分着・14時24分発で乗り継げるが、一方で宮古行きの三陸鉄道は14時43分大槌着。需要の有無にかかわらず、接続しないより接続させておいたほうがいいと考えるが、どうだろう。少々、歯がゆい。

余談めくが、三陸鉄道の線路は大規模商業施設「シーサイドタウンマスト」のすぐ裏を通っている。大槌駅から1kmほどだが、駅を設けられないものか。

赤浜バス停の遠景。正面が蓬莱島(筆者撮影)

大槌駅から赤浜までは3km強だ。ただ、ドラッグストアやホームセンターがあるエリアを経由するので20分ほどかかる。バスの行き先としてよく見かける赤浜は、大規模な漁港だった。やはり集団移転先の新しい住宅地も一回りして、終点へ。乗務員の待機設備などもある、小さなターミナルだった。高台に上がって全景を眺めてみると、赤い灯台を乗せた「ひょっこりひょうたん島」のモデルと言われる蓬莱島が正面に見えた。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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