地元の足「タッチの差」で乗り継げないモヤモヤ感 三陸鉄道と接続しないバス・釜石市北部大槌編

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両石から箱崎半島の根元を抜けると鵜住居の町だ。釜石市内―鵜住居―大槌駅前間は釜石市の施策で幹線系統と位置づけられている。そして、三陸鉄道鵜住居駅前でコミュニティバス「にこにこバス」と接続する。このバスは元、予約制で、2020年4月より予約なしで自由に乗り降りできるようになったのは、釜石市南部の上平田方面と同じだ。

整備された鵜住居駅前広場(筆者撮影)
鵜住居駅前の釜石祈りのパーク(筆者撮影)

ただ、室浜集会所、桑ノ浜、仮宿と3カ所ある海沿いの系統の終端まで乗る場合は、今も予約が必要。よほど利用客、ひいては住民が少ないものと見受けられる。自由に乗れる区間の終点は、大槌湾の南側に面した箱崎半島の北岸の箱崎白浜だ。

例によって地元住民の地域の中心部への行き来の利便が第一で、鵜住居駅発は10時55分が始発と遅い。それならば、釜石駅前9時45分発に乗れば10時02分鵜住居駅前着で十分間に合うという次第であった。なお、名称が違う「釜石市コミュニティバス」も鵜住居駅へ乗り入れるが、内陸部へ向かう系統だけなので、ここでは乗らない。

鵜住居も津波で町が壊滅してしまったところ。ラグビーワールドカップの試合が行われた釜石鵜住居復興スタジアムがシンボルだが、駅周辺にも公共施設、観光施設、交通広場が整備され、乗り継ぎ拠点として整えられている。時間があるので、駅前の慰霊施設「釜石祈りのパーク」で手を合わせる。

巨大防潮堤に守られた集落

地元タクシー会社に運行が委託された、「にこにこバス」のロゴが入ったワゴン車が現れ、筆者のほか、2人の利用客とともに乗り込む。鵜住居の町の北端にあたる片岸が始発で、町内を一周してきた便だ。室浜は片岸の東側に当たる。

鵜住居駅―箱崎白浜間は、平日のみ1日4往復の運転。朝の1便だけ、やはりJR釜石駅に近い教育センターまで走る。運賃はこちらでも200円均一が基本。箱崎白浜などから釜石市中心部まで行くと400円だ。なお岩手県交通の釜石駅前―鵜住居駅前間は340円だから、バランスは取れている。

箱崎白浜を走るにこにこバス(筆者撮影)

にこにこバスはまず、鵜住居川の河口に当たる根浜へ。ここは海水浴場として人気があった地区だが、松原や砂浜が再生されていて驚く。砂を入れて震災前の姿に戻したそうで防潮堤はない。ただし居住者は高台へ移転済み。地域によって考え方はさまざまである。

根浜からひと山越えて箱崎地区へ入る。桑ノ浜はここから半島を横断した南側で、両石に近い。予約はなく、そのまま北岸の羊腸の山越え道を進む。終点の箱崎白浜もまた、巨大な防潮堤に囲われた集落だった。新しくない民家が高台に固まっているのは、やはり過去の津波の教訓からだ。仮宿は、やはりここから半島を横切った南岸になる。

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