「京急フェイスの原点」600形の攻めすぎた過去 登場時の座席が独特、運転士「関西系の車両」

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京浜急行電鉄の600形。外観デザインは新1000形(右奥)などに引き継がれている(記者撮影)
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京浜急行電鉄の車両はよく「赤い電車」と表現される。かつては前照灯1つで赤い車体に白いラインが入った車両がおなじみだったが、いまや細帯をまとうのは1985年に登場した1500形だけとなり、側面の窓枠をクリーム色の太帯で囲んだデザインが主流となっている。

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朝夕混雑時に座席指定列車として運用される2100形や、最大勢力となった新1000形の車両の前面は丸みがかっており、正面から見ると左寄りに扉がある。上部両端に前照灯、下部左右には尾灯と急行灯が一体となって付いているのが特徴だ。

600形は京急フェイスの原点

こうした「京急フェイス」の始まりは1994年に運行を開始した600形にさかのぼる。運転台の前に緩やかに弧を描いて突き出たワイパーカバーや、スカートなどを合わせて3次元曲面で仕上げられている。一方、京急車両の伝統だった、数枚の板を櫛状に重ねた「アンチクライマー」は引き継がれていない。1500形や、すでに引退した2000形では前照灯が運転席の窓の下にあった。

600形は1994年3月に第1陣として8両編成2本が登場した。翌年に品川―横浜間で快特の最高速度が120kmに引き上げられた時期だった。その後、600形は仲間を増やし2022年4月時点で8両編成が8本、4両編成が6本の88両が在籍している。

600形の登場時の外観デザイン(写真:京急電鉄提供)

現在の京急フェイスの先駆け的な車両ではあるが、当初の前面のワイパーカバーは「イロンデルグレー」と呼ぶ暗めの色だった。イロンデルとはフランス語でツバメを指す。

異論が出たかもしれないのは、通勤車両らしくない車内も同様だった。3ドア車で座席は都営地下鉄直通用ながら進行方向を向いたクロスシート。8両編成のうち7本には、通勤時間帯の混雑対策として座席を2人席と1人席に転換できる「ツイングルシート」が設置され、600形ならではの特徴だった。乗り心地向上を狙い、連結部分には有料特急に見られる車端ダンパーも取り付けられていた。

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