小田急VSE「白いロマンスカー」何が特別だったか 一線退くも「まるで新型車両」の先鋭的デザイン

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白い車体と流線形の外観が印象的な小田急電鉄ロマンスカー50000形「VSE」(記者撮影)
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小田急電鉄で「白いロマンスカー」として知られる50000形「VSE」が2022年3月11日、通常ダイヤでの定期運行を終了した。

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2005年3月のデビュー以来、丸みを帯びた流線形のスタイリッシュな外観と、車内に漂う非日常感で箱根観光特急の主役を担った。2018年に最新のフラッグシップ70000形「GSE」が登場した後も人気ぶりに陰りを見せなかったが、17年という比較的短期間の活躍で一線を退くことになった。

定期運用を終了したVSE

すでに同社ホームページの「ロマンスカーラインナップ」にVSEの名前はない。紹介されている車両は、最新のGSE、地下鉄に乗り入れられる60000形「MSE」、通勤特急としての需要を考慮した30000形の「EXE」と 、EXEをリニューアルした「EXEα」の4車種だ。7000形「LSE」も2018年7月に引退したことから、小田急ロマンスカーの象徴だった展望席を定期運用で楽しめるのはGSEのみ。ロマンスカーファンにとっては、予約時に車種を選ぶワクワク感にも少なからず影響しているに違いない。

大きな曲面ガラスで景色が楽しめる展望席(記者撮影)

愛称のVSEは「Vault Super Express」の略で、「Vault(ヴォールト)」の意味する通り「ドーム型の天井」が特徴だ。10両編成が2本あり、1編成の定員は358人。外観カラーはシルキーホワイトの車体に、ロマンスカーの伝統色バーミリオン・オレンジをベースとした「バーミリオン・ストリーム」と呼ぶ細い帯を窓の下に走らせた。1991年登場の20000形「RSE」(2012年引退)やEXEで採用しなかった、車両と車両の間に台車がある連接構造が復活、車体傾斜装置と併せて乗り心地の向上を図った。

デザインは、建築家の岡部憲明氏が代表を務める岡部憲明アーキテクチャーネットワークが鉄道車両として初めて手掛けた。この後、ロマンスカーMSE、EXEα、GSEのほか、箱根登山鉄道の「アレグラ号」、大山ケーブルカーへと続く記念碑的な存在だ。

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