真っ赤な車体でおなじみの京浜急行電鉄。赤と白を基調とした塗装は1953年に初登場し、長らく京急の伝統として受け継がれてきた。かつては「赤い電車は白い線――」と歌われたこともあったが、現在は窓の周りを白く塗り分けた塗装が主流になり、窓の下に「白い線」を入れた車両は1車種だけになった。1985~1993年にかけて導入され、現在では京急最古参の形式となった「1500形」だ。
現役京急車両でもっとも「赤の面積が広い」といえるこの車両、最古参といっても総勢158両の一大勢力で、京急全線はもとより都営浅草線方面の乗り入れまで活躍するバリバリの現役。沿線利用者にとっては当たり前の存在で、京急社員も「オールマイティで特徴がないのが特徴」(50代の元運転士)と評する車種だが、実はさまざまな点で現役車両の基礎を築いた電車だ。
四角い車体に四角いライト
1500形は、それまで都営浅草線や京成線方面への乗り入れを一手に担っていた主力車「旧1000形」の後継車として開発され、1985年に最初の車両が登場。その後さまざまな仕様変更を経て1993年までに166両がつくられた。現在は4両編成7本、6両編成15本、8両編成5本が普通から快特まで幅広く使われている。
外観は前面の窓と行先表示器の周りを黒く仕上げたデザインが特徴で、窓下に並ぶ四角いライトもあいまって、丸みのある「顔」が多い京急の中ではやや角ばった雰囲気。派手さはないが、「四角い車体のため停止位置が合わせやすい」(40代元運転士)というメリットもあるという。
四角いライトは当時の流行で、1982年登場の快特用車両「2000形」に次いで採用した。それまで京急電車の前照灯(ヘッドライト)は車体上部に1灯が標準だったが、「前照灯が上部から下部2灯になり明るかったのと、見た目もクルマのようにかっこよかった」(50代元運転士)と、乗務員には好評を持って受け入れられたようだ。
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