京急で一番赤い電車「1500形」ベテランの重厚感 一見地味だが「初採用」多数、後輩車両の礎に

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1500形には京急で初めて採用し、その後標準化した技術や仕様がいくつもある。利用者から見て大きなポイントといえるのは車体の「ドア」だ。

1500形は3ドア・両開き扉のスタイルを京急で初めて採用した(記者撮影)

現在、京急の車両は快特に使われる2つドアの「2100形」を除いて片側3ドア・両開き扉が標準だが、このスタイルを初めて採用したのが1500形だ。京急は長年「片開き扉」にこだわっていたが、1982年登場の2000形で初めて両開き扉を採用。同車は2ドアの快特用車両だったため、現在見られる3ドア・両開き扉のロングシート車両は1500形から始まった。

車体の材料も変わった。初期の20両はそれまでの標準だった鋼製(鉄)車体だったが、1988年以降に製造した車両は京急初のアルミ製車体を採用。アルミ車体はその後の600形(1994年登場)、2100形(1998年登場)、新1000形(2002年登場)と引き継がれ、2007年にステンレス製車両が登場するまでのスタンダードとなった。1500形の鋼製車とアルミ車は一見同じだが、前面の「おでこ」と屋根のカーブが微妙に違う。

運転台や制御装置にも「初」が

その後標準となった「初」の要素はほかにもある。車両の加減速を操作するマスコンは、T字型のワンハンドルマスコンを初めて採用した。50代の元運転士は、「普通車の担当時、2ハンドル車の旧1000形や700形よりもワンハンドル車の1500形のほうがシンプルな操作で運転できたので、交代時に1500形が来るとうれしかった」と語る。

制御システムの面でも、1990年にデビューした車両はそれまでの「界磁チョッパ制御」に代わり、省エネのVVVFインバーター制御を京急で初めて採用。その後につくられた車両は同制御方式となった。

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