3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」

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もし、あなたが自分を理解してくれる人と共に生きることができているのなら、それは本当に幸せなことです。

人は「自分の時間を大切な人、大切なことのために使うことができた」と感じたとき、自分の生きる意味を見いだしやすくなり、後悔の少ない人生を送ることができるからです。

「誰か」を自ら探しに行ってみる

しかし、人はみな、基本的には自分のことで精いっぱいです。

あなたが、どれほど深刻な悩みを抱え、どれほど苦しみ、「誰かに自分の気持ちをわかってもらいたい」「誰かに話を聴いてもらいたい」と思っても、なかなかそんな相手には巡り会えないかもしれません。

そのような場合は、自分の気持ちをわかってくれると思える誰かをただ待つだけでなく、自ら探しに行ってみるのはどうでしょうか。

まず自分が相手の話を聴いてみるのです。

一見、遠回りのように見えても、それがわかってもらえる誰かに出会う、そして本当の意味で幸せになるための近道だと、私は思っています。

『新約聖書』(新共同訳、日本聖書協会)の「ルカによる福音書6章38節」には、「与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる」と書かれています。

自分の何かをほかの人に与える人は、実はいろいろなことを与えられるのです。

苦しみをわかってほしいあなたが、まず、苦しんでいる誰かの話を聴く。

すると、その誰かの心が穏やかになり、今度はあなたの話を聴いてくれる。

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苦しみを抱える者同士が信頼関係で結ばれ、そのように助け合い、支え合って生きていくことで、幸せの輪はどんどん広がっていくはずです。

方法はもうひとつあります。「自分の気持ちをわかってくれる人が誰もいない」と感じている人は、ぜひ一度、丁寧に過去を振り返り、良かったこと、楽しかったことを思い出してみてください。

誰かといて心の安らぎを感じたことはありませんでしたか?

誰かの言葉に「この人は自分の気持ちをわかってくれた」と喜びを感じたりしたことはありませんでしたか?

その相手はもう連絡が取れない人、この世にいない人かもしれません。

でも、「もしあの人が近くにいたら、自分にどんな言葉をかけてくれるだろう」「もしあの人が生きていたら、自分の気持ちをわかってくれるかもしれない」「頑張っている自分に、『それで良い』と言ってくれるかもしれない」と思うことができたら、それだけで十分に救いになり、今の苦しみが和らぐのではないでしょうか。

小澤 竹俊 医師

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おざわ たけとし / Taketoshi Ozawa

1963年東京生まれ。1987年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、1994年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3800人以上の患者さんを看取ってきた。医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。著書に『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』(アスコム)がある。

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