「外出控え」高齢の親が寿命を縮める本当のワケ 優先的にトレーニングすべき3つの要素とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2022年5月現在はまん延防止等重点措置も解除され、外出する高齢者も徐々に増えつつある状況かと思います。

しかし、「歩きたくても歩けない」ようだと、感染症以外の健康被害がこれから増加する可能性が高いのです。場合によっては、寿命に影響を及ぼす恐れもあります。

高齢者自身も「このままではまずい」と不安に駆られている方が多いのか、とりあえず筋トレを始めたり、部屋を何周も歩くなどの自己流のリハビリを始める方も増えているようです。

そうした努力を否定するわけではありませんが、足の専門医の立場からすると少々効率が悪いようです。

大事なのは「歩く」ことに直接関連する箇所を優先的、かつ集中的にトレーニングすること。それだけで、「歩く」力を保つことができるようになります。

高齢者が優先的にトレーニングすべき3つの要素

では、それはどの箇所なのか。

それが次の3つです。

●土ふまずのかたち
●足裏の筋力
●足首のやわらかさ

こうした要素が整うことで、体重が理想的に分散され、足に無理な負担をかけずに歩くことができます。筋肉や関節などが衰えてくると3つの要素のバランスが崩れ、特定の部位に過度な負担が生じて、痛みの原因になったりします。

2つのスタスタ筋(画像:アスコム)

前述した3つのうち、「土ふまずのかたち」「足裏の筋力」に深く関連するのが後脛骨筋と内在筋という2つの筋肉です。私は歩くことに深く関係する2つを合わせて「スタスタ筋」と呼んでいます。

もちろん、この2つ以外にも歩行にはさまざまな筋肉が複雑に関係しているのですが、少しでも早く歩くことを望むのであれば、まずは「スタスタ筋」を鍛えることを意識してください。

そのうえで、足首のやわらかさを身につけましょう。いわゆる「アキレス腱伸ばし」で、足首のやわらかさは身につくのですが、やり方にコツがあります。体育の授業で皆さんが習ったやり方では不十分です。

『2万人の足を診てきた名医が教える 弱った足でもぐんぐん元気になる! スタスタ体操』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

筋力と柔軟性を同時に身につけることで、足は「最速」でよみがえります。

拙著では、スタスタ筋を鍛え、足首の柔らかさが得られる1日5分でできる簡単な「スタスタ体操」をご紹介しています。歩行困難であった80代の高齢者が、無事に歩けるようになった事例なども載っています。

コロナの影響で、高齢者の健康が危機的な状況にある今だからこそ、高齢者の足を衰えさせないことに注意を払わなくてはいけないと強く感じます。

これを機に、あなたの周囲にいる、ご高齢の親族の足の健康について、真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

菊池 守 足の専門医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きくち まもる / Mamoru Kikuchi

2000年、大阪大学医学部卒業。国内の医療機関に勤務した後、アメリカ・ジョージタウン大学創傷治療センターに留学し、足病学に出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授、日本初の足の総合病院「下北沢病院」院長を歴任した足の専門医。日本形成外科学会認定・形成外科専門医。
高齢化社会が進み「歩きたくても歩けない」という悩みが増えるなか、トータル4万足の足を診察してきた経験を基に、座ったまま行う体操なのに歩くのと同じ健康効果がある「すごい足踏み」を考案する。ウェブサイト「教えて、足病先生!」(https://ashibyo.com/)の校長も務める。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事