40代管理職がデジタル化に後ろ向きな3つの理由 仕事を変えたくないし評価されないし、縁遠い

拡大
縮小

しかし、これをどう解消すればいいのかを考えると、今はまだ専門の研修なども少ないため、40代の管理職にとってはデジタル知識を体系的に吸収する環境は整っていないと言えます。

では、この中間管理職によるDX忌避は、どう解決すべきなのでしょうか。

上記の3つの理由は、それぞれの要素が絡み合っているため、どれか1つを解決しても本質的な管理職の行動変容は起こりにくいと言えます。

デジタルの知識がなくても

最初にあげたマインド面については、ある意味では管理職自身では解決できない問題もはらんでいます。会社がDXに取り組むときに、現場の意見として声を聞くことも可能ですが「自分は受け身の立場」と考えている人に急に話を振っても、積極的な取り組みを引き出すことは難しいでしょう。

DXプロジェクトで中間管理職を活かすとしたら、その部門で改善すべき業務のポイントを、その部門の責任者として取りまとめてもらうことです。デジタルの知識がなくても、現在の部署が抱える課題や改善点であれば、まとめることは可能だからです。

難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください
『難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

また人事評価制度も、可能でしたら評価項目を追加しましょう。さきほどの繰り返しになりますが「将来への備え」という評価項目を追加することも可能ですし、DXに向けた改善ポイントを提案してもらうことを評価項目とすることも考えられます。

デジタル知識の吸収については、いわゆる中間管理職向けのDX研修を検討するのも手です。NTTデータなどは中間管理職向けのDX研修を行っていますし、これからの時代のリーダーシップ研修も類似した内容になることが考えられます。

マインド、社内評価、知識の側面から中間管理職を巻き込むことが、経営者やDX推進者と現場の社員とを繋ぎ、社内全体のDXを円滑に進めるうえで重要なポイントです。部長や課長に「現状の体制のまま自らが変革のマインドを持って主体的な行動に変えてくれ」と伝えても、これまでの経験があるので、なかなか難しいでしょう。中間管理職の変革を会社の取り組みとして課題感を持って進めるなどし、後ろ向きな人を前向きに変える努力をすることが会社の効率化や強靱化には効果的です。

日淺光博 株式会社日淺CEO、DXコンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひあさ みつひろ / Mitsuhiro Hiasa

DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。公益財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。直近2年で40社以上のDXプロジェクトに関わり現在に至る。DXに特化した情報発信やデジタル人材育成動画を配信する「GoDX」を運営。

株式会社日淺 公式サイト https://hiasa.co.jp/

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT