40代管理職がデジタル化に後ろ向きな3つの理由 仕事を変えたくないし評価されないし、縁遠い

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なかには「DXをすることでリモートワークにもつながったし、情報共有もできて今では社内のデジタル化の業務では一目置かれている」という方もいましたが、それは稀なケースです。私の調査では、9割以上の中間管理職は「関わりたくない」と考えていました。では、なぜ中間管理職はDXに関わりたくないのでしょうか。3つの理由が考えられます。

1つ目これはデジタルうんぬんではなくマインドの話です。

40代管理職がビジネスパーソンとしてデビューしたのは、1990年代後半から2000年前後。平均給与は1997年をピークに下がり続け、この10年ほどはやや持ち直したものの微増、という状況です。

個人によって程度の差はもちろんありますが、基本的には多くの人が「努力をしても給与はさほど変わらない。でも長く在籍しているから役職だけは上がっていく」という経験をしていることになります。

努力が報われないと感じ続ける大多数の中間管理職は「業務改革や、多くのステークホルダーと関わって進めるDXプロジェクトの準備ができていますか」と聞かれても、なかなか前向きな心境にはなれないのでしょう。

DXを進めるということは、場合によっては、これまでの自分の仕事や業務内容を変えることにも繋がりますから「積極的には関わりたくない」と感じてしまうことがあるのは致し方ないことです。

中間管理職にとっては、会社が前向きにDXへの取り組みを開始しないかぎり、自ら率先して準備を始めることは難しいのでしょう。

ただ、現在40代の管理職は、読書をしたり自ら学んだりすることに特に積極的な世代とも言われています。体系立ててDXを学ぶ機会さえあれば、意識も変わってくるのではないでしょうか。

評価に繋がりにくいことに体力を奪われたくない

日本経済新聞が報じた「40代が最もデジタル化に関わりたくない」という記事に人事評価制度についての言及がありました。「成果に対しての評価ではなくプロセスも評価する制度に変える必要がある」という趣旨です。

たしかにDXは、年単位のプロジェクトになることが多いですし、半年や1年では成果が見えにくい場合もあります。その際に評価基準が「成果」だけだとすると、数年経たないと評価を受けること自体が難しくなるのも確かです。

次ページ「将来への備え」を評価項目にできれば
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