「自分のやりたいこと」は他人に聞くのが早いワケ 「ライフ・シフト2」座談会イベントレポート
横石:僕の場合は、目標や目的を決めずに学ぶのが好きです。今の話ですと後者にあたりますね。成功した起業家の思考や行動を理論化した「エフェクチュエーション理論」を実践しているわけですが、三石さんはこの理論に詳しいですよね。
三石:エフェクチュエーションは、一言で言えば「わらしべ長者」です。今ある資産で、自分はこれができるというものをまずは考えます。
横石さんのように「僕は、こういうイベントがやりたいんだ」という意思を見せるのも、その1つです。すると、リンダさんにつながったように、「一緒にやらないか」「これできるんじゃない?」と連鎖反応が生まれてサービスが大きく育つことがあるのです。
完全なレシピどおりに料理を作るのとは対照的に、冷蔵庫を開けて、そこにある材料と自分の料理の腕で、どうやっておいしいものを作ろうかと試行錯誤するようなものですね。
横石:自分の冷蔵庫に、何が入っているのかは絶対に知っておいたほうがいいですよね。いまここにあるものを楽しむ能力と言ってもいいかもしれない。
計画・ゴールが定まらず、一歩踏み出せない20代が多い
横石:こないだ脳科学者から教えてもらったのですが、モチベーションには2種類あって、トップダウン型とボトムアップ型のスイッチがあるそうです。前者は、計画と段取りありきで進めるもので、後者は、子どもたちが砂場で遊んでいるような自然発生的で自発的な状態。エフェクチュエーションは、どちらかと言えば、ボトムアップ型だなと思っています。
僕は、そのボトムアップ型のモチベーションを鍛えたいんですね。子どもが遊ぶように働きたいし、生きていたい。大人になるとどうしても、計画・目標が前提の世界になってしまいますから、そこをどう外すかが問われてきます。
三石:計画を立てるところが定まらないから、一歩踏み出せないということも多いですね。20代の方からは、ゴールや成功モデル、ロールモデルがないから踏み出せないという声をよくいただきます。
僕は、「得意なことや、好きなことからやってみたらどう?」と言いますが、足踏みしてしまうんです。学生時代もずっとそうだったし、就職してからも、その会社で役職になることなど、すべてゴールがあって計画どおりに進めるという状態に置かれていたわけですね。