本読みの達人が推薦!いま読むべきビジネス書10 分厚いビジネス書を読むことで思考力を鍛える

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先の見えない時代に予測精度を高めるポイントを教えるのが『超予測力』(フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー著)だ。

2万人超のボランティアに市場動向や政治情勢など、さまざまな領域の未来予測をさせた結果、抜群の成績を誇る「超予測者」が2%存在することが判明した。彼らの思考法やスキルは普通の人とどこが違うのかを検証し、10の心得として紹介する。

藤井氏が選ぶ、いま読むべきビジネス書10冊

人生100年時代になり、従来のライフプランは通用しなくなった。どう生きるかは自分で考え、見つけなければならない。その手がかりを提示するのが『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)だ。

英国の経営学者と経済学者が、AI(人工知能)や機械化の進歩など環境変化への適応から、お金、仕事とプライベートのバランス、人間関係の構築、健康などについて解説する。より具体的な行動を提言する続編も出ており、併せて読みたい。

「老後が不安」「資産を築きたい」「早期リタイアしたい」など、お金にまつわる関心や悩みは尽きない。対処法はいろいろあり、ノウハウも流布している。だが、それらを学ぶ前に押さえておきたいのがお金に関するマインドだ。

『サイコロジー・オブ・マネー』(モーガン・ハウセル 著)は、お金、投資、ビジネスに関する判断が、個人の経験や独自の世界観、エゴ、プライド、マーケティングに大きく影響されていることを明かし、富を築けないマインドから抜け出す方法を教える。お金や投資、ビジネスに対する認識を覆す。

過去の分析から新時代を読む

先を見通すには、過去の総括が不可欠だ。その視点を与えてくれるのが『日本の論点2022~23』(大前研一著)だ。

国際情勢や国内外の政治、経済、経営を鋭い頭脳で分析、総括し、新時代に生かせる物の見方や考え方を与えてくれる。2013年に発売されて以来、毎年発刊されている。9冊目に当たる今号は「安い日本から脱却せよ」をテーマに、国内外の情勢を分析し、解説したうえで、課題と道筋を示している。

デフレ問題、人口減少、財政・社会保障問題など、現在のビジネスが直面する課題は、いずれも平成にその起源がある。それを学べるのが『平成の経済』(小峰隆夫著)だ。平成の経済を著者の見解を交えて描く。『平成の政治』『平成の経営』と併せて「平成3部作」の1冊で、ほかの2冊も読んでおきたい。

最後にビジネス書の範疇に収まらないが、人類史から現代のビジネスを俯瞰するために読みたいのが『サピエンス全史』(上・下)(ユヴァル・ノア・ハラリ著)だ。

国家、貨幣、企業など、人類が生み出した虚構は人類を幸福にしたのか。「認知革命」から「農業革命」、そして進行中の「科学革命」と進み、生物工学、サイボーグ工学、非有機的生命工学という3つの技術の進化が生物進化の法則さえ超越する未来を予測する。上・下巻あり、読み応えは十分。50カ国以上で刊行され世界的ベストセラーになっている。

冒頭で説明したとおり、これらの本は、いずれも読み手に時間と知力、体力を求める本ばかりだ。その分、読めば日々の情報を消費するだけでは決して得られない知見を育んでくれる。それが血肉となり、混沌とする時代を生きる地力になるはずだ。

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

藤井 孝一 経営コンサルタント、アンテレクト取締役会長

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ふじい こういち / Kouichi Fujii

1966年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。大手金融会社で営業・マーケティングを担当。その間、中小企業と起業家の活動をサポートする経営コンサルタントとしても活動、3年間の二足のわらじ生活を経て、独立する。とくに、かつて「副業」とひとくくりにされてきた「在職中から、お金をかけず、低リスクで始める起業スタイル」を「週末起業」と名付け、その普及に東奔西走。「起業したいが、リスクが怖い」と考えるビジネスパーソンたちから支持される。この活動を加速させる目的で2003年『週末起業実践会』(当時は『週末起業フォーラム』)を創設。2万人を超えるビジネスパーソンに起業を指導し、多くの起業家を生み出す。

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