NYで開眼!栃木で「竹の農場」盛り上げる男の発想 IBMの中庭を見たことが家業の再興に繋がった

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手ぶらで野宿ができるレンタルセット(写真提供:若山農場)

「撮影場所からの帰り道の会話が、『タケって綺麗なんですね』のひと言から、竹の話題に変わったことが何度もあったんです。それが年齢性別を問わず、みなさん驚くほど喜んだ顔をして」

この頃には経営を立て直していたものの、若山さんの家業に対するイメージは変わらなかった。

「私は家業が嫌で嫌でたまらなかったんですけど、この竹林の景色だけは幼い頃からずっと大好きなままだと気づいたんです。この時なんですよね。農場を観光地にしたいという気持ちがふつふつと湧いてきたのは」

農家のプライドが観光事業参入の原動力に

はたして若山さんが打ち出したのは、何もない竹林をただ歩いてほしいというコンセプトだった。

「日常を忘れられる竹だけのステキな空間。景勝地じゃない、庭園でもない、寺社仏閣でもない。農場なんだけど竹だけは圧巻。そこには農家のプライドを懸けて、徹底的にこだわっています」

(写真:筆者撮影)

竹の魅力がより伝わるように、年々進化を遂げている若山農場。昨年からは、竹林で野宿もできるように整備されている。

約21ha(東京ドーム5個分)の竹林が育む空間に身を投じ、五感でたっぷりとタケを感じてみれば、竹とタケノコを見る目がいつの間にか変わっている自分自身に驚くはずだ。

生きている植物としてのタケの温もりを感じられる「若竹の杜 若山農場」は、東北自動車道宇都宮インターチェンジから車で10分足らず。農場に不釣り合いなほどキレイなトイレにも、よい思い出だけを持って帰ってほしいという若山さんの思い入れが詰まっている。

(写真:筆者撮影)
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