現地日本人が語る「上海ロックダウン」の過酷実態 破綻する「ゼロコロナ政策」だが、批判はできず

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いまも自宅での「軟禁状態」が続くが、そんな日々の中で救われることもある。数少ない外出のときに同じフロアの中国人と顔を合わせることもあるのだが、

「外国人だから言葉や事情がわからずになにか困ってはいないか、足りないものがあったら言ってねって、よく声をかけてくれるんです。子どもたちに食べさせて、と野菜や卵を持ってきてくれた人もいました」

同じフロアの人たちとはすべて連絡先を交換し、すっかり仲良しになったという。ロックダウンは近所づきあいが広がるきっかけにもなったのだ。

そんな人たちに支えられていることに加え、配給の食事や団購で買える物資も豊富なほうで「私の住む地域はまだまだ恵まれていると思う」と勝間田さんは言う。

ギョーザ12個で約1万円!ぼったくりも横行

「同じ上海でも場所によって事情はさまざまで、物資がまったく足りない地域ではマンションに閉じ込められた中国人が食料を求めてベランダからいっせいに叫んだり、封鎖線を突破して市内に飛び出し、国歌を歌う人々も出てきたりしています」

やはり上海在住の駐在員、中田雄二さん(仮名)は語る。食料の便乗値上げも相次ぎ、ギョーザ12個で500元(約1万円)といったぼったくりも横行しているとか。

またロックダウン下にある上海市民は自分で行う抗原検査と、小区ごとに行うPCR検査(核酸検査)が義務づけられているのだが、2つを合わせるとほとんど毎日という頻度。これに嫌気がさして検査を拒絶する人々が続出。自宅玄関に「抗原自測阴性 不做核酸」(抗原検査が陰性だからPCR検査はやらない)と書いた貼り紙をする人も増えている。

こうした光景をWeChatなどに投稿して抗議に意志を表す上海市民も多い。しかしこれは共産党の威信を傷つける行為でもある。だからすぐに削除されるのだが、怒りの書き込みは殺到し続けており、当局の対応は追いついていない。

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