清掃員は見た「コロナ禍のごみ捨て」酷すぎる光景 可燃ごみの中に瓶缶ごちゃ混ぜ、マスク放置

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ほとんどのごみは、自治体のルールに基づきしっかりと分別され、指定された曜日や時間に排出されているのであるが、中にはそうでないごみも見受けられる。可燃ごみの収集の際には、必ずと言っていいほど袋の中に瓶、缶などの資源ごみが混入されているケースがある。

ごみをつかんだ瞬間に音がしたり妙な重たさを感じたりするのですぐにわかるのだが、それが確認できた場合には、ごみ袋の中から不燃物を取り出さざるをえない。なぜなら、それらを清掃車に積み込んでしまうと、清掃工場の焼却プラントを損傷する可能性があるからである。

その際はごみ袋を開封して不燃物を取り出すのだが、ごみ袋の中には使用済みのマスクやティッシュが入っているケースもある。感染者数の増加で自宅療養している人も多く、そこから排出されたごみである可能性も高いため、清掃労働者の感染リスクは自ずと高まっていく。

また、ごみ袋をしっかりと結んでいないため、収集作業でつかんだ瞬間にほどけてしまい、ごみが辺りに散乱するケースもある。そうしたときには、手で直接ごみを触らぬように、清掃車に積んでいる「かき板」(べニア板)を用いて集める。

清掃車を停めていると通行に支障が生じてしまう際には、なるべく早く作業を終える必要があるため、仕方なくじかに手でごみをかき集める場合もある。

ごみ袋から出たごみを手で拾い集める様子(筆者撮影)

さらには、しっかりと分別してごみを出しているのだが、カラス除けネットをしていないため、カラスに突かれてごみが散乱しているケースもある。風がきつい日はごみが付近に散乱し、異臭が漂い通行もはばかられることもある。この場合も同様に手でかき集めざるをえなくなる。

ペットボトル収集の困った出し方

一方、ペットボトルの収集では、飲み残しがあるにもかかわらずそれをそのまま排出している人もおり、収集時に清掃労働者に中身がかかってしまうこともある。先日ペットボトルの収集をしていたときに、ビニール袋を持ち上げて収集車のバケットに入れようとしたら、足に何か冷たい液体がかかったように感じた。よく見ると、ペットボトルから飲料がこぼれ、自らの服に付着していたのである。

また、最近よく見かけるのが、ごみの集積所に使用済みマスクを包まずそのまま置き去るケースである。風で飛ばされて、道端にぽつりと落ちているときもある。見つければマスクのひもの部分を持ちバケットに積み込んでいる。

新型コロナウイルスの感染者が出始め、緊急事態宣言が発出された2020年4月には、清掃労働者はエッセンシャルワーカーと呼ばれるようになった。文字どおり、社会において必要不可欠な働き手であるという位置づけなのであるが、言葉ばかりが先行しているようであり、それをいまだにしっかりと認識していないごみの排出者が後を絶たないのが現実である。

ごみの向こうには、そこで働いている人たちがいる。清掃労働者も努力して清掃サービスの維持に尽力しているが、サービスの受け手であるわれわれも、自らの行為が清掃サービスの停止につながる可能性があること、それが自分へとはね返ってきて不便を強いられるようになることを理解する必要がある。

繰り返しになるが、それは難しいことではなく、自治体の指定のとおりに分別し排出する、たったそれだけのことなのだ。

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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