マンションの「ペット禁止」築古物件にそびえる壁 新築はほぼ可能だが2000年以前は意外に飼えない

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議長による採決の結果、出席者、委任状や議決権行使書もカウントしたが、わずかに4分の3に届かず否決されてしまった。ペット飼育可にするには、管理規約の改正が必要で、組合員総数と議決権総数のそれぞれ4分の3以上の承認が必要なのだ。

承認されなかったのは、ペット飼育について「どちらでもいい」と思っていた組合員が、ペットアレルギーの人に同情をして棄権や否決に動いたのが理由のようだった。信子さんは、ガッカリして、正明さんにも結果を伝えた。ちなみに規約改正が承認されれば、ペット飼育細則の議案は、出席組合員の議決権の過半数で決めることができた。

ペット飼育はマンション3大トラブルのひとつ

信子さんのように、ペット飼育意向のある非飼育者の阻害要因として、調査によると「集合住宅に住んでいて禁止されている」が、犬で24.3%、猫で34.3%にもなる。

いまでこそ、新築マンションのほとんどがペット飼育可だが、いまだ築古マンションではペット禁止も多い。ペット飼育可の分譲マンションが主流となったのは2000年代以降とされる。不動産経済研究所の「首都圏におけるペット飼育可能な分譲マンション普及率調査」によると、調査を開始した1998年に販売された新築マンションでペット飼育可は、たった1.1%しかなかった。それが2002年には30%、2004年には50%を超え、2007年には86.2%まであがっている。

その背景には、1997年に国土交通省が中高層共同住宅標準管理規約の改正で、ペット飼育を「規約で定めるべき事項」と記載し、ペットに関する規約をつくるよう促したこともあげられる。以降、新築マンションでペット飼育可が主流になってきたことを受けて、既存マンションにおいてもペット禁止から飼育可へとルール変更をするマンションが増えている。

こうしてマンションでペット飼育が普及する一方で、ペット飼育がマンショントラブルの上位を占めることも多くなった。

ちなみに国土交通省実施の「平成30年度マンション総合調査」によると、トラブルがないマンションは23.2%しかなく、何らかのトラブルを抱えているマンションが増加している。発生したトラブルについては、居住者間の行為、マナーをめぐるトラブルが55.9%と最も多く、次いで建物の不具合に係るトラブルが31.1%、費用負担に係るトラブルが25.5%となっている。

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