「学校に行きなさい」で子どもを追い詰める父親へ 仕事同様の危機管理意識をもってほしい

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でも、よく考えてみてください。今挙げたものは、ぜんぶ「将来」の心配事で、じつは「今」の心配事ではないんです。ですから、まずは「将来」と「今」を切り分けたうえで、今やるべきことを考える必要があります。

今やるべきことはシンプルです。学校へ行かない状態を認めたうえで、お家で安心してすごせる状態をつくること。これに尽きます。子どもの今を認めてあげれば、子どもの自己肯定感は高まるからです。自己肯定感は人の土台となる大切なものです。土台がないと家は建ちませんよね。人間としての土台を取り戻せれば、柱や屋根や壁といった土台のうえにある建物のこと、つまり「将来」を考えられるようになります。だからどうぞ安心して「今」に向き合ってください。

それでもわが子を目の前にするといろんな心配がわき出てくるし、いざというときにどのように構えていればよいのかわからない、と思われる方も多いかもしれませんね。

そこで僕が提案したいのは、お父さんには子どもの不登校を肯定的に受けとめる1歩として、「今日は日曜日」と考えてみることです。日曜は子どもが家に居るのはあたりまえでしょう? お父さんだって、休日は気楽な気持ちですごしますよね。その感覚をつねに持ってほしいんです。子どもが不登校になって家にいることを受けとめるときには「今日は日曜日」と思えば、お父さん自身がイライラしたり腹が立ったりすることがなくなると思います。じつはこの姿勢が子どもにとって安心感を持たせ、自己肯定感を育むことにつながるんです。

とりあえず

こんなことでよいの?と疑われる方もいるでしょう。これはたとえ話ですが、居酒屋に入ったら、たくさんメニューがあって、どれを食べるか悩みませんか。そんなとき、たいていはとりあえずビールを頼んでから、じっくりメニューを選ぶことが多いと思うんです。じつは不登校も同じで「とりあえず」でよいのです。とりあえず不登校を認めて、今はまだよくわからない将来のことは別に考えましょう、ということを今回提案したかったんです。

親は子どもを導いていくために自分が指導しなければ、とついつい考えてしまいがちです。とくにお父さんはその傾向が強いかもしれません。でも、親が立派である必要はないし、むしろ弱さも見せていきながら、気楽に構えていけばよいんです。むしろそのほうが親子それぞれ対等な関係を築くことができますし、結果として子どもの自立にもつながります。そのように前向きに考えていけば、きっと実りはあります。

このように考えるとお父さんにできることってたくさんあるように感じませんか。わが子が自分の人生をみずからプレーヤーとなって歩めるように、お父さんにはご自身の役割を把握したうえで、ぜひとも客席にいる応援団になってほしいと思います。(了/編集・赤沼美里、木原ゆい)

【プロフィール】蓑田雅之(みのだ・まさゆき)
フリーランスのコピーライター。子どもが東京サドベリースクールへ通い始めたことをきっかけに、従来の学校教育のあり方に疑問を持ち、教育分野の研究に着手。現在は不登校で悩む人をなくすことを目的に、講演会「おはなしワクチン」や書籍出版などの活動を行なっている。

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