ライブ配信中「アカウント乗っ取り」驚きの手口 ツイッターのパスワードリセット機能を悪用

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個別メッセージが配信中に表示されてプライバシーが流出、問題に発展して引退につながってしまった配信者もいる。このようなトラブル対策で多くのサービスが警告を出しているが、トラブルは続いている状況だ。

さらに進んで、プラットフォーム側で配信中はデフォルトで通知オフにしたり、通知を読めなくするなど対策すべきだろう。

距離感を勘違いした故の「ライバー殺人事件」

「『今、後ろにいるよ』とDMがきて振り返ったら、50代くらいのおじさんが笑って立っていた」

これは、NHK「ねほりんぱほりん」のライバー(ライブ配信者)の回で、ライブ配信者の女性が語った恐ろしいエピソードだ。「距離感が近すぎると誤解されるし、よそよそしくしすぎると怒り出す」ので、距離感が難しいという。

ライバーはリスナーと距離が近い。名前を呼ばれたり、人間関係ができるこのような距離感の近さが売りの一つとなっている。しかしそのため距離感を勘違いするリスナーもおり、ストーカー事案に発展することも珍しくない。

2022年1月には、「ライバー殺人事件」も起きている。埼玉県越谷市でライブ配信者の女性が、投げ銭をしてくれていたファンに殺されたのだ。配信者の女性とリスナーの男は事件前に一度しか会っていなかった。男は動機について、「女性にライバーと視聴者の関係に戻ろうと言われた。女性が他の男のものになるなら殺してしまおうと思った」と語っている。距離感を勘違いされたために起きた悲劇だったというわけだ。

「投げ銭をくれるから、ついついリスナーの言うことを聞いて、個別にDMしたり、お願いを聞いたり、直接会ったりしてしまうライバーはいる。でも、個別のやり取りをすると『恋人同士』と勘違いするリスナーが出てきて危険と実感した」と、冒頭で紹介した女性配信者はいう。

専業ライバーなど、生活のすべてをコンテンツ化するライバーは多いが、生活圏で配信するとストーカーされるリスクがある。配信は自室内限定にするなど、居場所や自宅が特定されないような配慮が必要だ。

また、投げ銭をされるとついリスナーに心を許して個別にやり取りしたり、直接会ってしまう配信者もいるが、危険な行動だ。DMやLINEなどの個別のやり取りはせず、コメント欄や配信内など公の場でのやり取りに留めること。くれぐれも直接会ったり、自宅を教えたりしないことが大切だ。

ライブ配信が一般化したことで、悪用する事例や、犯罪被害につながる事例が続いている。個人情報はしっかりと管理し、リスナーとの距離感をうまく保ちながら、安全に配信を楽しんでほしい。

高橋 暁子 成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

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たかはし あきこ / Akiko Takahashi

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』 『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。公式サイトはこちら
 

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