世界初パンダ専用ミルク「日本」で開発の深い事情 かなり「ニッチ」でも製品化が実現した理由
2020年11月22日生まれの楓浜(ふうひん)が「パンダミルク-10」を飲み始めたのは生後8カ月頃。「もうだいぶ大きくなっていて、哺乳瓶だとゴムを嚙みちぎる恐れがあったので、最初からお皿で飲む練習をしました」(飼育スタッフの品川友花さん)。
楓浜は初めてのミルクに少し抵抗。でも、お皿の飲み口にハチミツを塗ってもらうと、すぐに飲んだ。与える「パンダミルク-10」の量は成長に合わせ増減しており、2022年1月末時点では1日に400mlだ。2022年4月12日に親離れするまでは母乳を中心に育ち、「パンダミルク-10」は補助的に与えている。
現在、アドベンチャーワールドで「パンダミルク-10」をパンダに与えるのは、基本的に2歳までとしている。2018年8月14日に生まれた彩浜(さいひん)の最後のミルクタイムは、2歳の誕生日の夕方。その様子は有料のウェブ配信で中継された。筆者も視聴したら、彩浜はお皿に顔を近づけて、おいしそうにゴクゴクと飲み切った。
味は、高津さんによると、あまり甘くなく、どちらかというと濃厚なミルクの味がするという。使う際は、ぬるま湯を入れて混ぜれば完成するので、手間がかからない。ただし、ダマがあると未消化の状態で残り、パンダがお腹を壊しかねないので、よく混ぜる。
「パンダミルク-10」は、ジャイアントパンダのほか、レッサーパンダやカンガルーに使われたこともあるという。一般向けには販売しておらず、価格は非開示。森永乳業によると、出荷量は年100kgほどだ。なお、「海外では認知度が低く、お問い合わせいただくこともほぼないため、現時点では海外で需要があるか把握できていません」(森永乳業)とのことで、輸出はしていない。
日本で暮らすパンダたちの成長を支えてきた人工乳。今後もパンダが生まれたら役に立つだろう。
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