天気による体の不調を改善するセルフケアのコツ 「頭痛、めまい、肩こり、だるさ」悩んでませんか

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気象病のメカニズムについてはまだ完全解明に至っていないものの、気圧の変化と密接にかかわっていることと、気圧を感じるセンサーが内耳にあることは確かだといえます。

気圧の影響を受けやすい人は、内耳にある気圧を感じるセンサーが敏感に反応するようになっています。内耳が急激な気圧の低下または上昇を感じると、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、痛みなどの症状が現れてしまうのです。

この原因は、内耳の血行不良です。

ですので、症状が現れるタイミングの前に血行をよくしておけば、内耳のセンサーの感受性が下がり、気象病の症状をやわらげることができます。

内耳の血行不良を整える方法には、ツボ押しや耳温熱などさまざまなものがありますが、ここでは、私が患者さんたちにおすすめしている「くるくる耳マッサージ」をご紹介します。

セルフケアで即時効果も期待できる

【くるくる耳マッサージ】
下記の①~⑥の手順でやってみてください。

①両耳の上部を軽くつまみ、5秒間、上に引っぱる
②両耳の真ん中を軽くつまみ、5秒間、横に引っぱる
③両耳の下部を軽くつまみ、5秒間、下に引っぱる
④両耳の真ん中を軽くつまみ、横に引っぱり、そのまま耳を前から後ろにゆっくり大きく5回まわす
⑤両耳を包むように曲げて、5秒間キープする
⑥両耳を手のひらで覆い、円を描くように前から後ろにゆっくり5回まわす
くるくる耳マッサージのやり方(図版:アスコム)

耳がポカポカと温まってきたのではないでしょうか? くるくる耳マッサージのいいところはセルフケアで即時効果も期待できるところにあります。気象病の症状が現れるタイミングは人それぞれなので、どんなときに不調が発生するのかを記録し、把握したうえで実践してみるとよいでしょう。

『1万人を治療した天気痛ドクターが教える「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』(アスコム)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

気象病や天気痛という言葉は、最近になってやっと少しずつ浸透してきましたが、まだまだ知らない人も多く、つらい不調を「心の問題」や「心の弱さ」として片付けられてしまうことも多いのが現状です。症状が重いのに職場や周りの理解が得られず、休職や退職に追い込まれてしまうというケースもあります。

くり返しになりますが、天気による不調は「気のせい」でも「心の問題」でもありません。しっかりした因果関係のある、誰もが発症する可能性のある症状です。そして、症状に応じた対策を取ることで、状態を改善し、自分でコントロールすることができるようになるものです。

もし、あなたやあなたの周りの方々が原因不明の不調に悩まされていたら、「この体調不良は天気のせいかもしれない」と疑ってみることがすごく大切です。体調不良は自己管理能力の低さにあると、自責の念に駆られてしまう人が少なくありませんが、「天気のせいで体調が悪い。だから自分は悪くないんだ」と開き直ることは思いのほか重要なのです。

佐藤 純 天気痛ドクター・医学博士

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さとう じゅん / Jun Sato

1958年福岡県生まれ。疼痛生理学・環境生理学を学んだのち、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京竹橋クリニックでも気象病・天気痛外来医として診療を手掛ける。天気痛研究・診療の第一人者として「ためしてガッテン」「あさイチ」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。2020年には株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」をリリースし、注目を集めている。
主な著書に『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法』(光文社新書)、『まんがでわかる天気痛の治し方』(イースト・プレス)などがある。

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