感謝しない人が見落とす「人生の幸福感」の法則 苦労や苦難に意識を集中するほうが簡単だが…

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また、感謝を表現すると、自分のバイブスを変えていいものをもっとたくさん引き寄せられるようになるだけでなく、物事を俯瞰して眺められるようにもなる。

私たちはつねに自分と他者を比較している。

そしてほとんどの人は、ほかの人が欲しがるものを、自分が持っているということに気づいていない。

人は、自分より幸運に恵まれているように見える人と、自分自身を比べがちで、自分より恵まれていない人には目が向かない。

この地球上には、戦火の中で暮らしている人もたくさんいる。

一方で私たちは、そういったことはニュースで知るだけで、毎日の暮らしで戦争を経験することはない。

口だけで「ありがとう」と言うのは簡単だ。

感謝の気持ちを表現するときは、本当に感謝を感じていなければならない。

コーチングで出会った男性の例

私がコーチングをしているウィルという男性を例に、「本当の感謝」について考えてみよう。

ウィルは私に会うと、まず自分の問題を片っ端から列挙していった。私はそれが終わるのを待ってから、「今度は感謝しているものを教えてほしい」と彼に言った。

するとウィルは、「そんなものは1つも思いつかない」と答えたのだ!

ウィルは車好きだということを知っていたので、私は「車はどうですか?」と尋ねてみた。

彼は「そうですね、車には感謝しているかもしれません」と答えた。

この程度の感謝は、とっかかりとしてはちょうどいいが、バイブスの状態を変えるほどの力はない。

そこで私は、もしその車がなかったらどう思うか尋ねてみた。

彼はその状況についてしばらく考えると、困ることをリストにしていった。

「車がないと、仕事に行けなくなる。買い物にも行けなくなる。友達に会いに行くこともできない……それに、子どもの学校の送り迎えもできない」

車がない状況を具体的に想像したことで、彼の状態が変わってくるのがわかった。

そこで私は、さらに一歩進めるためにこう尋ねた。「子どもの送り迎えができなくなったらどうなりますか?」。

彼は答えた。「そのときは、歩いてもらうか、バスを使ってもらうしかないでしょう」。

私はさらに尋ねた。「徒歩で通学することは、子どもたちにとってどういう意味があるでしょう?」。

そのとき突然、彼の脳裏に寒空の中で歩いて学校に通う子どもたちの姿が浮かんだ。徒歩の通学は子どもたちにとって危険だ。彼は見るからに動揺してきた。

次ページさらに子ども時代を思い出し…
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