「飼い主の高齢化」で取り残されるペットの末路 ペット同伴で入居可の高齢者施設はまだ少数

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神奈川県横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里山科」は、ペット同伴での入居が可能だ。

ペットにかかる費用は、餌代、医療費、消耗品代の実費だけ。飼い主が亡くなった後は、遺族が希望すればペットを最期まで世話することも可能だ。その場合は飼育費として月5000円を払ってもらう。

ペットと入居できる「さくらの里山科」を設立したのは10年前のこと。そのきっかけを理事長の若山三千彦さんに聞いた。

飼い主が亡くなった後も施設がペットを世話

自宅で倒れ、救急車で運ばれた女性。愛猫の祐介が心配で老人ホームに入るのを拒否していたが、さくらの里山科に入居し、元気を取り戻した(撮影:さくらの里山科)

「ある男性の高齢者の方との出会いですね。当法人の在宅介護部門で長年ケアをしてきた方で、愛犬と暮らしていたのですが、身体が弱って老人ホームに入居することになったんです。でも、愛犬の引き取り手が見つからず、泣く泣く保健所に引き渡すことに。それをずっと悔やみ続けて、入居後、半年もしないうちに亡くなってしまったのです」

そのとき、ずっと見守ってきた職員が「亡くなるまでの半年間、自分を責め続けて死んでいくなんて、こんな悲惨な最期はない」と訴えるのを聞き、ペットと一緒に暮らせる老人ホームをつくろうと思い立ったのだそうだ。

ただ特別養護老人ホームの収益構造では、ペットを受け入れるのは現実的に難しく、ペット可のところはほとんどない。とはいえ、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅では、少しずつペット可の施設も増えている。「諦める前に、ペットと一緒に入居できる施設がないか探してほしい」と若山さんはアドバイスする。

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