「飼い主の高齢化」で取り残されるペットの末路 ペット同伴で入居可の高齢者施設はまだ少数

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コロナ禍でのペット飼育数の増加が新たな問題を生んでいる(写真:Toa55/PIXTA)

コロナ禍が始まった2020年以降、癒やしを求めてペットを飼う人が増えている。犬の新規飼育頭数は2019年の35万頭から2021年には39万7000頭へ、猫は同39万4000頭から同48万9000頭に大きく伸びた(ペットフード協会調べ)。

実際、ペットと触れ合うと、愛情ホルモンといわれる「オキシトシン」が分泌され、幸せな気分になり、痛みがやわらぐ効果もあるという。犬を飼えば、散歩に行くことになり、健康増進にもつながる。猫は体も小さく、自宅で飼うにはもってこいといえるだろう。

その一方で、飼い主の高齢化による「ペットの取り残され」が大きな問題となってきている。

飼い主の施設入居で取り残されたモモ

猫好きの新井順二さん(仮名)がモモ(推定15歳)の窮状を知ったのは、近所のAさんからの情報だった。聞けば、隣に住んでいた90代の女性が老人施設に入居することになり、モモが取り残されてしまったという。

「その90代の女性とは立ち話をしたことがあり、モモを見かけたこともあるので、何とかしなくてはと思いました」と新井さんは話す。

Aさんによると、その90代の女性は、モモの姿が見えないと「モモちゃん、モモちゃん」と大声で探し回るほどかわいがっていたという。モモは出入り自由で暮らしていたため、外に出ていたときに施設に入居したと思われる。ペットを同伴できる施設は少なく、本人がモモを連れて行きたくても、難しかったのだろう。

新井さんは、すでに取り残されたモモに気づいて餌をあげていた近所のBさんと連絡を取り合い、協力して世話を始めた。

「僕が引き取れればいいのですが、ペット不可のアパートに住んでいるので、無理なのです」と新井さんは残念そうに話す。

こうしてモモの世話をして数カ月が経ったとき、モモに異変があった。耳がただれ、ご飯も食べなくなったのだ。動物病院に連れて行くと「耳にがんができているかもしれない」という。そのまま入院となり、がんを摘出する手術をすることになった。

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