製造部門が「営業」の目標にムカつく納得の理由 組織間の摩擦を解決するにはどうしたらいいか
モラルハザードの原因は二者間の目標の不一致と情報の非対称性であり、それによってエージェントがプリンシパルの望まない行動を取るようになる、ということでした。
これを需給調整の文脈に当てはめると、在庫抑制を目指し、精度の高い生産計画を立案するために妥当な販売計画の連携を望む製造部門(プリンシパル)に対し、品切れを回避して売上予算の達成を目指す営業部門(エージェント)が、実勢や予算よりもストレッチした販売計画を連携するようになる、と整理できます。
エージェンシー理論では、このモラルハザードに対し、
・プリンシパルによるモニタリング
・エージェントのインセンティブ
という2つのしくみを導入することで情報の非対称性と目標の不一致を解消し、問題の解決を図ることができると主張されています。ここから得られる示唆として、次の2つのアイデアが考えられます。
製造から営業へ人を送り込む
1つは、製造部門から営業部門へ人を送り込むという案です。これはベンチャーキャピタルが投資企業に社外取締役として人を送り込むことから着想を得たものですが、これによって連携されてくる販売計画の妥当性についての情報を得やすくなると考えます。
私はSCM部門の中と、営業部門も含まれる事業部門の中の両方で、需要予測を担ってきました。どちらにもメリットデメリットはあるのですが、事業部門の中で需要予測を行う方が、営業・マーケティング部門からの情報連携はより具体的に、温度感を伴って行われます。
その妥当性を一緒に議論することもしやすく、より明確な根拠をもって需給調整に臨むことができました。これはこの案と本質的には同じかもしれません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら