製造部門が「営業」の目標にムカつく納得の理由 組織間の摩擦を解決するにはどうしたらいいか
しかし製造部門はその違いがわからないため、どちらも平等に生産計画へ反映することになり、限られた生産キャパシティーが偏って配分されることになります。結果、客観的な販売計画を提示した人は十分な生産量を確保できず、品切れのリスクを抱えることになります。
これが繰り返されると、最初は客観的な販売計画を提示していた人も、自分の担当ブランドやアカウントのために、あえて高めの販売計画を連携するようになっていきます。 そして、販売計画の精度は悪化し、最悪の場合は不必要な生産キャパシティーの増強へ投資が行われてしまうのです。
これはまさに情報の非対称性と目標の不一致を原因としたモラルハザードであると言えます。
「商品数」という変数
ここで需給調整に関わったことのない方のために少し補足します。おそらく“売上予算と生産へ連携する販売計画に大きな乖離があるなんておかしいのではないか”と感じる方もいらっしゃると思います。
感覚的にはその通りだと私も思うのですが、ここに商品数という1つの変数を考慮することで整理することができます。
企業が扱う商品数が少なければ、これらの計画の乖離の詳細がすぐにわかるので、補正しようという動きが生まれやすいと言えます。
一方、数千や1万を超える規模となると主力の商品以外の計画は曖昧になり、計画の乖離の詳細がわかりにくくなります。ブランド単位やアカウント単位で予算(計画)を管理する営業部門が、数千という商品別・月別の計画を毎月更新して管理することは、現実には難しいのです。
なぜなら、営業部門は売上予算の達成がミッションであり、それに多くのリソースを投入するからです。よって、2つの計画に乖離があることは把握できるものの、その具体的な商品は何で、どうやって補正するかは単純には考えられないのです。SCMは商品数の増大に伴って管理工数が指数関数的に増加し、難易度が上がると言われますが、需給調整においても商品数は無視できない厄介な変数なのです。
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