東宝、「妖怪ウォッチで最高益」も通過点? 来期は『HERO』『進撃の巨人』が待っている

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近年、好調が続いてきた東宝だが、気になるのは来2016年2月期の業績だ。「映画業界は水物」(映画配給大手)と言われるように、映画業界では当たり外れで業績が大きく変動する。

今春、新宿コマ劇場跡地に新宿東宝ビルが開業、入居するホテルなどからの賃料収入が上乗せされるなど安定収益源の不動産賃貸が下支えするものの、「映画の大作1本の浮沈に比べると少ない金額」(東宝幹部)。利益の増減のカギを握るのはやはり映画事業だ。

では来期のラインナップはどうか。配給作品では3、4月にアニメ作品が目白押しだ。ドラえもんや名探偵コナン、クレヨンしんちゃんなど、ヒットが狙える手堅い布陣となっている。

ただこれは、ほぼ毎年公開されている定番作品。前期のテルマエ・ロマエのヒットをカバーするには、『映画 暗殺教室』(3月公開)や『寄生獣 完結編』(4月公開)などの踏ん張りが必要だろう。

来期はジブリ作品のない夏に

7月には8年ぶりとなる人気ドラマ『HERO』の劇場版が予定されている。2007年の第1作は80億円を超えた大ヒット作品で、2014年に放送されたドラマも平均20%超と高視聴率となっただけに、期待値は高い。

夏のアニメ作品では、恒例のポケモンに加え、『バケモノの子』(7月公開)にも期待が集まる。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、そして2012年に興行収入42億円の大ヒットとなった『おおかみこどもの雨と雪』を手掛けた細田守監督の3年ぶりの作品となる。2012年以来、ジブリ作品が予定されていない夏となるが、その穴を埋められるかがポイントだ。

また人気コミックを実写で映画化する『進撃の巨人』のパート1が8月、パート2が9月に連続で2作品公開される。2014年8月に公開されて興行収入80億円超となった3Dドラえもんにどこまで迫れるか注目だ。

10月以降は『バクマン。』や『信長狂騒曲』など人気コミックを原作にした作品を経て、年末にはふたたび妖怪ウォッチが控える。今回、記録的な大ヒットとなっているだけに、2作目がどこまで健闘するかが注目だ。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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