「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(上) 仕掛け人が語る舞台裏「すべて本物にする」
――年明けからアニメやグッズなどさまざまなメディアでの展開が本格化しました。
正直なところ、結果は予想以上です。僕が企画して原作を作った『イナズマイレブン』(2008年8月にニンテンドーDS用ソフト発売)や『ダンボール戦機』(11年6月にPSP用ソフト発売)もほぼ同じチームでやっており、アニメ制作のスタッフも含めてだんだんと慣れて、やり方が分かってきたところはあります。今回はクロスメディアのプロジェクトとして本当にいろいろな施策を打った。一番いい結果が出るという確信があったんですけど、僕らとしても単純にすごいなと思う。
本当にクロスメディアをやり始めたのは6年くらい前から。それまではゲームだけだったり、いろんなものを単独で宣伝をしていた。『レイトン教授と不思議な町』(07年2月にニンテンドーDS用ソフト発売)はほとんどクロスメディアをせずにヒットした。イナズマイレブン以降、経験を重ねながらやってきた中では、クロスメディアで商品を一気に市場に出すことで、一番の相乗効果を生むということ。それがポイントだと思うんです。
子供は偽物を見抜く
――クロスメディアの展開で特に意識されていることは?
自分の幼少時代にもいろんなものが派生した”クロスメディア的”なものはあったと思うんですけど、子供の感覚で本物と偽物を嗅ぎ分けていたんですね。「あっ、この仮面ライダーのやつ(おもちゃなど)は、すっごい本物の雰囲気があるな」とか、「このガムのパッケージについているやつは偽物感が漂っているな」とか。
そういうふうになったらクロスメディアで展開している意味がないので、僕が最初に考えたのは、すべてを本物にするということです。イナズマイレブンの頃から常に注意していたのは、例えば、キャラクターの持つ雰囲気とか絵の描かれ方。
ゲームはもちろん僕らが作るものですが、マンガでもテレビアニメでも、いろんなメディアに展開する作品群に対して、「これはOK、これはNG」というようなことをやっていく。キャラクターの顔のバランス一つにしても、すべてを本物にしなければ連動する意味がない。そうした点に気をつけてきました。
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