「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(上) 仕掛け人が語る舞台裏「すべて本物にする」
――スピード感を重視しながら、本物感をどこまで追求するか。葛藤がありませんか?
かなり大変な思いをしましたけど、極力、妥協しないようにやってきました。やっぱり忙しくなるし、スタッフもいろんなチェックを任されたら大変な作業量になる。うちの会社はおそらく本当に人一倍、作品の筋を通すための監修作業はしっかりやっていると思います。
――それでも意図がうまく伝わらなかったり、大手企業が相手だと妥協が必要なことはないのでしょうか。
うーん。でも、僕はほんとに一緒にやってくれる人たちに恵まれてると思うんですけど。バンダイさんとかの商品開発力や制作力はすごく優れていて、多少違うよねっていうところがあった場合に、それが直らないとか、聞いてもらえないということはありません。基本的に自分たちが作り出したものが、きちんとした形で商品になっていると思います。
ドラえもんを超えたい
――『イナズマイレブン』と『ダンボール戦機』で得た教訓を、『妖怪ウォッチ』にどのように活かしたのでしょうか。
イナズマイレブンは『キャプテン翼』のような熱血少年で、スポ根ものみたいなコンセプトでした。これに『ドラゴンボール』的なぶっ飛んだ必殺技とかを取り入れて打ち出した。ダンボール戦機は、等身大のロボットがそこにあるみたいなリアリズムがあります。
イナズマイレブンは6年間続き、ダンボール戦機も3年間続いた。でも、長く続けていると新しいことをやりたくなる。スポ根、熱血、ロボットときて、今度はやっぱり、普遍的なもの、長く愛されるものを作りたいなというのがあった。そこで、僕の中のイメージで超えなきゃいけない目標は『ドラえもん』や『ちびまる子ちゃん』、『ポケットモンスター』だったり。20年、30年と続いているものに対抗しうるものを、どうやったら作れるんだろうというところから発想から始まっているんです。
――ハードルが高いですね。
高いですよね。
――それは3年前にダンボール戦機を作った時から考えていた?
そうですね。だいたい並行して進めて、最初の1年が終わった時点で次の作品の企画を作るんで。だから、妖怪ウォッチのパイロットフィルムを作ったのは相当前です。どうしたらそんな化け物みたいなコンテンツを作れるんだろうと思っているとき、自分の中にあったのは、現代の子どもたちに一番合ったコンテンツ、一番身近にあるコンテンツを作ろうと。
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