「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(上) 仕掛け人が語る舞台裏「すべて本物にする」

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そういった今の子たちが普通に共感できるエピソードを作品の中に取り入れた。丁寧にそれをやることで共感と呼べる仕組みを作る。子供たちが遠い漫画の中の世界じゃなくて、つい昨日、学校で起こってたことがそこに出てくるみたいな。それが妖怪ウォッチの基礎世界観の成り立ちなんですよ。

ひの・あきひろ●1968年生まれ。福岡の開発会社でメインプログラマー、ディレクターを経て、「子供たちにワクワクしてもらえるゲームを作りたい」という思いから1998年にレベルファイブを設立した。

――ドラえもんの世界観が念頭にあったのでしょうか?

いや、今ドラえもんのポジションを作るにはどうすればいいのかってことです。世界観を目指したとか、真似したとか、そういうことは一切ないです。僕はドラえもんがすごく好きで、子どもの頃は自分の中のメインコンテンツだった。どうすれば僕が子どもの頃にドラえもんを見た時のような雰囲気を、今の子供たちに伝えられるのかというだけのことだと思うんですよね。

――ストーリー性、ゲームとしての楽しさ、先に発想するのは?

僕は初めからクロスメディアのコンテンツとして考えたので、ゲームに企画シナリオのようなものを書いて設定を作りました。ゲームにする場合、アニメにする場合はこうだとメージして、すべて同時に考える。だから、おもちゃも最初の基礎設計の段階でメダルと妖怪ウォッチという仕組みはありました。

――ダンボール戦機ではプラモデルという形で展開しました。そこから今回、おもちゃのメダルやウォッチが出てきたのでしょうか?

戦略というよりも、たまたま妖怪をネタにしようかなと思って。妖怪というのは、ものすごく和風の言葉で古くから使われているので、響きに新しさを加えるために「妖怪ウォッチ」というタイトルをつけました。簡単に言うと、言葉遊びみたいなものですよ。”妖怪ウォッチ”、いいじゃないのみたいな感じで、自分の中で思って。そこから発想して、デザイナーがいろんな案を出していった。

――実は、妖怪時計とか妖怪レコーダーとか、たくさん案があった?

いやー、どうだったかな。でも、普通に「妖怪ウォッチ」という響きと、組み合わせの面白さから、このキーワードなら売れるという感じがして動き出したと思います。

(撮影:尾形文繁)

「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(中)では、数多くのヒットを生み出す日野氏の発想法に迫ります。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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