渋澤 ただ、日本にとって原油安は決してネガティブな要因ではないでしょう。円安は日本国内の消費を促進する要因になりませんが、原油安にはそのネガティブ要因を軽減させる効果があります。
2015年は引き続き原油安とロシア経済がテーマに?
中野 世界的にディスインフレの傾向が強まりそうですね。米国は2%というインフレ目標を掲げていますが、実現は難しいでしょうし、欧州はデフレに入る瀬戸際。原油安がそれにトドメを差すでしょう。とはいえ、世界的に見れば原油安は決して悪い話ではありません。
渋澤 このまま安い水準が続くなら良いのですが、いつかまた上がるというムードもありますよね。今回の原油安にしても、何が原因でここまで原油価格が急激に下がったのかという点が、今ひとつ見えてこない。その意味では、原油価格のボラティリティが世界経済の不安定要素になっている側面もあります。
中野 渋澤さんは、また原油価格が上昇に転じると考えていますか。
渋澤 だって、世界経済は拡大しているのだから、このまま下がり続けることはないでしょう。
中野 このまま原油安が続くと、ロシア経済に甚大な影響が及びますよね。かつて旧ソ連時代に、サウジアラビアが減産しなかったことから原油価格が急落し、アフガニスタンから撤退せざるを得なくなった一つの要因になったように、ロシアにとって原油価格は死活問題です。
2015年は2014年末の大きなトピックとなった、原油安とロシア経済が引き続き大きなテーマになりそうです。でも、原油価格の適正水準って、どこなんでしょうね。シェールエネルギーは米国が大量に輸出できるだけの埋蔵量を持っていますし、日本もメタンハイドレートが注目されていますし。
渋澤 まあ、そこはコストの問題でしょう。シェールにしても1バレルあたり60ドルが損益分岐点と言われているし。
中野 でも、そこにイノベーションが生まれる素地があって、気付いたら50ドル、40ドルというように損益分岐点が下がっていく可能性は十分にあると思います。これが最終的にロシアの首を絞めていくでしょう。それが、マーケットのボラティリティを高める要因にもなると思います。
藤野 そこは興味深いところです。
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