大学の国際化には、大きく分けて4つのレベルがある。まずは限られた分野で研究者が往来するレベル、次に留学生別科を作り、そこで学んでもらうレベル。さらに進むと学部で留学生を受け入れて、先生も外国人が増えて行く。そうすると最終段階として、大学の組織や制度などをグローバルスタンダードに変えていくレベルになる。
国際部国際課の丸谷充徳課長は、「早稲田は現在、大学組織をグローバルスタンダードに変えていくレベルにある。留学生や外国籍の先生を受け入れるためのシステム自体を整えており、たとえば入試制度や研究者採用制度も、日本人だけを対象としていたときとは違っている」と言う。
本当に教職員の国際化も進んでいるのだろうか。データをみると、1679人の教員のうち、外国籍の教員は142人。これをみるとそれほど多いようには感じられない。しかし、これに日本国籍を持つが外国で学位を取った人や外国での教育研究歴を持つ人を合わせると760人となり、全体の45%の教員が外国籍であったり、海外で教育を受けたり、研究をしたことがあるということになるという。やや無理があるようにも思うが、それだけ国際化が進んでいる、ということだ。
国際教養学部の授業の中身とは?
グローバルスタンダード化とは、どういうことなのか。その最大のポイントは言語だ。
授業の言語は日本語だけではなくなっている。2004年にすべての授業を英語で行い、学生の3分の1を海外から募る「国際教養学部」を創設。2010年からは順次、政治経済、基幹理工、創造理工、先進理工、社会科学部で英語授業を提供する「英語学位プログラム」を設置している。「英語学位プログラム」とは、受験から授業履修、卒業まで一貫して英語で学べるプログラムであり、出願時に日本語能力は求められない。
では、どのような基準で入試を行っているのか。諸外国でのリクルートや入試制度の広報を手がける「国際アドミッションズ・オフィス」の玉田正樹課長は「SAT、インターナショナルバカロレア、Aレベルといった海外で行われている大学入学資格試験の結果、高校時の成績や志望理由のエッセイを提出してもらい、提出された書類による総合審査および面接審査を実施している。書類審査で優秀と判断された場合、面接を免除する場合もある」と言う。
受験生のなかには、海外で教育を受けてきた日本人も含まれる。日本の教育指導要綱に沿っていない学生を同じ学部に受け入れることで、当然のことながらレベルのギャップが生じるため、その対策も行っている。「特に数学、理科といった理系カリキュラムはギャップが大きいので、1年生のカリキュラムで不足分を補えるよう設計されている」(玉田課長)。
9月入学を実施し、授業内容は日本語でのコースとほぼ同様。同じ教師が英語、日本語両方の授業を担当することが多く、日本人学生でも希望すれば英語の授業を選択することができる。
国際教養学部や英語学位プログラムを履修する場合、課題や論文もすべて英語。日本語をまったく学ばないでも済んでしまうのであれば、日本で学ぶ意味があるのか、という疑問も湧いてくる。「第二外国語として日本語を学ぶことを推奨しており、学部によっては必修科目となっている。外国籍の生徒でも、卒業後は日本企業に就職するケースが多く、その場合、日本語能力がなければ就職は厳しい」(玉田課長)
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