ネットに全てを預けるグーグルOSの試作機が登場、パソコン業界の「携帯業界」化が加速?
次々にヒット商品を出しているアップルの製品はどうか。「使って楽しいし、本の制作やビデオ処理に向いている」とあるジャーナリスト。「とはいうものの、アップルのマックブックはウィンドウズのパソコンに比べ、2倍以上高い」。
前述のタツノ氏はアップルは「ハイエンドマーケット向き」と見る。また、サンノゼ州立大学のリサーチャーの1人は「アップルは学生や教育関係者に対して割引があるし、サポートしてくれるシステムがある。マックブックをアップルストアで買った直後、1対1で1時間、52回までOKなのよ。年間99ドル払うだけでいいの」。アップル製品は、付帯サービスがウケているのだ。
一方、ウィンドウズOSのパソコンの将来はどうなるのだろうか?
「マイクロソフトは、これからの競争で、死に絶えるのではないだろうか」というのはシリコンバレー在住のアナリスト。彼は、アプリケーションソフトの「オフィス」やストレージサービスで儲けていくのがマイクロソフトの主力事業になるだろうと予測する。
シリコンバレーで複数の会社の役員を務めるジェイコブ氏は「クローム・パソコンはすべてがネット上にあるため、セキュリティに対する施策や情報管理がどう扱われるかがわからない。手元のパソコンにOSやアプリがあるウィンドウズは、パソコンの起動に時間がかかろうが信頼性が高い。特にビジネスユースでは、これからも強いのではないか」と見ている。
筆者がクローム・パソコンの登場で、改めて感じたのは近い将来、パソコン業界が携帯電話の世界のようになるのではないかということだ。パソコンというハードウエアは無料で、ソフトのサービスで収益を上げる形に移行していくのではないだろうか。
実際、グーグルのクロームOSを搭載したCr−48は、試作機の段階だが、すでに、米国の携帯電話会社・ベライゾンの3Gネットワークが使えるようになっている。