ネットに全てを預けるグーグルOSの試作機が登場、パソコン業界の「携帯業界」化が加速?
あなたは自分のパソコンをいくらで買っただろうか。シリコンバレーのクリスマス商戦の売り出しでは、HPのインテルコアi3搭載ノートが約500ドル、アップルのマックブックプロ(インテルコアi5搭載)が約2300ドル、デルのVosto V130が約800ドルなどだ。
パソコンが安くなったとはいえ、ネットブック以上の機能を持つパソコンではおおむね500ドル以上、つまり4万円以上の出費は覚悟しなくてはならない。ハードウエアのコストもさることながら、OSを独占するウィンドウズの価格が織り込まれているからだ。
こうした状況に対して12月7日、グーグルは自社開発の無償OS「クロームOS」を搭載した試作ノートパソコン「Cr−48」(写真)を、関係者に無償提供すると発表した。提供の対象となるのは、企業のIT担当者、米国防総省、デベロッパー、学校など。また、米国内在住18歳以上で適切と判断される一般利用者にも配布される(詳しくはwww.google.com/chromeos/)。
クロームOSを搭載したCr−48は、パソコンの内部にアプリケーションをインストールするのではなく、サーバー上に置いたアプリケーション(ウェブアプリ)をクローム・ブラウザを通じて利用する。ネットワーク接続が前提で、OSのアップグレードを利用者が行う必要もない。
ネットを核とするCr−48の登場で、これからのパソコン業界はどうなるのか。シリコンバレーの専門家たちに聞いてみた。
「グーグルのパソコンは大衆向け。起動が速く、オープンソースで、ネットのアクセスに使うのが主な用途のマシンだから」と、サンフランシスコ在住で投資家のシェリダン・タツノ氏は言う。2011年夏に一般発売予定のCr−48の価格は300ドルから400ドルになるといわれ、安価。だから大衆普及型といえる。